五月三日付の朝日の朝刊で「産地偽装 元素で見抜く」という見出しの記事で「コメ・肉・魚・・・細胞内に注目」とし、農水産物が育てられた場所の気象状況や水系、えさの違いで、細胞に含まれる酸素や窒素など一般的な元素の質量の微妙な違い(同位体比)から各地のサンプルと比較して産地を判別、コメ、牛肉、ウナギの産地判別に成功したという。

 素人の私が疑問に思うところは、世界中に元素の同じ同位体比を持つ地域が全くないという保証もない以上、俄かにこの判別法で産地の正体を極めつけることは不合理ではないか、と思う点である。

 と、同時に、そこまでして、産地の正体を細かくチェックすることに何の意義があるか、と思う。一般の消費者は安全でおいしく安い食糧を求めているのであって、産地を盲信し、その正体だけを問題にしているのではないと思う。産地のウソをつくのは勿論いけないが、産地のみにこだわらないよう「魚沼産コシヒカリ」でないなら「新潟産コシヒカリ」だっていいではないか。消費者もそれ以上やかましく言わなくってもいいのではないか、と思う。


(2009.5.5)