米クライスラーは四月三十日、米連邦破産法第十一條(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。米国、カナダ両国政府が計一〇五億ドル(約一兆円)を拠出、再建を全面的に支援するという。破産法の手続きに沿い、資産を新会社に移管、経営陣も刷新し早期の再建を目指すと報じられている。

 米国自動車ビッグスリーの苦境は暫らく以前から言われて来ていたが、遂に来るべきものが来たという感じである。

 この世界的不況のなかで、自動車産業も例外ではなく、どこも大幅な減産を余儀なくされている。とくに、米国の自動車産業の不振の原因が何処にあるか、と言えば、やはりオイルショック後の対応が他の国の(例えば日本)の自動車産業に較べて、省エネ技術の開発、車の小型化などの諸点で、産油国として油の価格が低いだけにメーカーとしての努力も不充分であったことにもあるのではないか。

 米国発の金融不安の波をもろに米国が被るのは止むをえないと言えば、それまでであるが、いずれにしても、米国産業のシンボル的存在でもある自動車企業の一角が崩れ落ちたことに深い感慨を懐かぬものは少ないであろう。

 もって他山の石となしうるか。


(2009.5.5)