『小さいおうち』
緩やかなジェットコースター。
今と昔を往復しながら日本を顧みる。
今には昔の良いところを…
男子学生が祖母に自叙伝を書かせ
そのチェックも兼ねて祖母の家を定期的に通う。
今時そんな学生なんて一握り、
いや、一摘みいるかどうかもあやしい。
けど、そんな様子を平気で描いているのは
現代の家族の在り方への問題提起なんだろうか。
孤独死したタキの葬儀のシーンからはじまることからも
それが伺える。
昔には今の良いところを…
かつては男が言うこと・上司が言うことは絶対。
女性が自立し、若者にも沢山の選択肢がある現代の素晴らしさ。
特に、お見合いのシーンが印象的。
時子が理解ある人間だからタキは避けられたけど
昔は強制結婚なんて日常茶飯事だったのだろう。
タキの涙が本当に切なかった。
そして、僕達は『ほたるの墓』を見過ぎていた…
戦時中は物資が少なく、飢え苦しんでいた大勢の人々がいた。
けれど、その一方で、ある程度の生活ができ
希望や幸せを感じながら生きていた人々もいた。
毎日絶望感の中、泣いていた訳じゃない。
そこに人間の強さを見ることができた。
そして、その強さを支えているのが
家族を含めた他者との絆。
役者の演技も素晴らしかったし
ちょっぴりドキドキしながら楽しめた。