そういえば、暫く映画鑑賞記録をサボってた…
『はじまりのみち』
木下惠介の短くもあり長くもある数日を描いた作品。
基本的には淡々と物語は進み
何となく古き良き日本映画を思わせる。
ただ、ただ、ひとつひとつのシーンが美しかった。
「きれい」じゃなくて「美しい」んだ。
戦争の最中というのを忘れさせるくらいの自然美も
たくさん切り取られていた。
けど、そう思わせるのは
主人公の内面からくるものなんだろう。
そう、加瀬亮が凄いんだ。
人一倍、芯の強さを持っている。
けど、奥底には繊細さを秘めている。
表現規制への葛藤と挫折。
親子愛と希望。
それらが脇を固める人達と
特に一対一で絡んだときに惜しみなく表現される。
久々に一人の役者の演技に胸打たれた気がする。
そして、この作品は木下惠介への敬意が
これでもかってくらい詰め込まれてる。
『ニュー・シネマ・パラダイス』的なやつ。
反則技だろと思いながらも
どんどん引き込まれて感動してしまう。
木下惠介の作品が観たくなった。
黒澤も小津も中途半端なのにどうしよう…