今から少し前の夏の出来事。自宅に帰る途中の公園に小学校高学年くらいの女の子が

ひとり立っていた。それほど遅い時間帯でもなかったが、こんな木々に囲まれた薄暗

い園内に、ひとりでいるのは危なっかしく思えた。なによりこの公園は地元でも事件

事故が多発しており、子供がひとりで遊ぶような場所ではなかった。きっと家族と一

緒に来てるんだろうと思った、しかし歩道から園内を覘くが女の子以外誰もいない。

女の子は公園から見えるマンションを見上げていた。女の子に声をかけていいのか、

迷ったが、べつに悪戯するわけではないし、自分に言い聞かせ女の子に声をかけた

何してるの? と尋ねると、妹を待っているのだという。そんなんだ、でも園内は、

危ないから人通りのある歩道で待ってたほうがいいよ。ありがとう。女の子は僕に

お礼を言うと公園から出て行った。翌日の帰り道、園内を覘くと昨日見た女の子が

ひとり園内に立っていた。女の子は公園から見えるマンションを見上げていた。そ

の姿に違和感めいたものを感じたが、上下は夏物で生地が薄く、穿いてる紺のプリ

ーツミニ スカートは大人びた魅力を醸し出し、僕の目差しはより違ったものに変わ

っていた。辺りを気にしながら、園内に入ると、妹を待ってるの? と尋ねると、

小さく頷き、僕の顔を見上げてきた。昨日もいたよね。女の子は無言で小さく頷いた

危ないから、ひとりで園内に入らない方がいいよ。妹を待ってるから・・・と言う

ひとりじゃ危ないよと言うと。じゃぁ一緒にいて。と答えると、無言でマンション

を見上げた。女の子の横でスマホをいじり30分待ったが、その間も女の子は無言

でマンションを見上げ続けていた。その姿になんとなく僕もマンションを見上げた

マンションの5階のベランダから少女と同じ位の女の子が公園を見下ろしていた。

女の子の妹だと思い、園内からマンションに向かって手を振った。マンションから

見下ろす女の子は僕に気がついたのかベランダから部屋の中に入って行った。やれ

やれ、これで帰れる。僕は胸を撫で下ろし、ふと横を見るとさっきまで一緒にいた

女の子の姿が消えていたことにゾッとし、僕は逃げるように公園から飛び出した。 

まだ話には続きがあります。