スタッフ達は沖正弘の事を、「グル」とか沖導師と呼んでいた。
導師と書いてグルと読む。
ヨガの師匠の事をグルと呼ぶことは知っていたが、目の前でグルとか導師と言っているのを聞くとなんだか不思議な感じがする。
まあ、日常聞き慣れない言葉を聞くというのはそういうものなのだろう。
改めて道場を見回してみると、左手には学校の体育館のような壇があり、奥には二階へ上る階段がある。
その右に女風呂、その隣に男風呂。
オウムと同じく男風呂のほうが大きい。
これは人数比を考えれば当然かなと思う。
さらに右の方には調理場、壇の反対側の窓際には大きなやかんが2つありお茶が入れられている。
お茶は柿の葉茶とびわの葉茶。
話には聞いていたが、どちらも飲んだ事はなかった。
貴重品は受付で預かってくれるが、ロッカーのようなものはない。
個人の荷物は屋上のほったて小屋のようなところへ置きっぱなしとなる。
オウム以上に酷い環境だ。
それともうひとつ、お金は全部預かるという。
確かに、道場にいる間お金を使うことはない。
まあ、これは、買い食いの防止という意味もあるが、もう一つは帰りたくても返さないという事で、ある意味オウムより酷い。
オウムの場合、親が帰れと言っていたとしても、本人は道場に居たいと言っている。
沖ヨガの場合は、本人が帰りたいと言っても返さない。
今ではそんな事はとても許されないと思うが、昭和というのはそういう時代だった。(笑)