費用は一泊で大人が六千円、学生が五千円だった。
今の貨幣価値だといくらぐらいになるのか分からないが、当時はちょっと高いかなという感じがした。
貰うだけで一度も使ったことがなかったお年玉を充てる事にして、10日間の予定で沖ヨガの本部道場に電話を入れた。
いつから来てもらってもよいということだったので、結構いい加減なのかなという印象を受けた。
新幹線こだま号に乗り、三島駅で降りる。
駅前に停まっているタクシーに乗り込み、沖ヨガ道場と告げると、運転手は慣れた様子で直ぐに車を発車させた。
後から思えば、沖ヨガとオウムというのは奇妙なほど類似点が多い。
麻原は誰かからの情報で、沖ヨガのことをかなり詳しく知っていたのではないだろうか。
三島と富士宮、どちらも富士山に近いこだまの駅。
当然に同じような地形の同じような田舎町。
オウムの総本部道場に向かう時、何か奇妙な懐かしさを覚えたのはそのためではないだろうか。
まるでインドのヨガ行者が、アルナーチャラへ向かうときのように。