オウムでは様々なイニシエーションが行われていたが、絵によるイニシエーションは無かった。
その理由は定かではないが、必要ないか金にならないか、そのどちらかと判断されたという事かもしれない。
何よりも、そんな絵を描ける人材がオウムにはいなかった。
そういう事なのだろう。
こういった絵を描くには、二つの能力が必要となる。
一つはもちろん、普通に絵を描く能力である。
この能力を持つ人間は、オウムにはいなかったかもしれないが、世の中には相当な数が存在する。
もう一つは修行ステージ。
これは残念ながら、世の中にはいない。
もしいたのなら、その人にお任せして僕自身は絵を描こうとはしなかっただろう。
僕の場合、修行ステージは申し分ない。(笑)
ただ、絵を描く能力がないのである。
これは困った。
どの様な分野であったとしても、ある程度の出来の作品を仕上げるためには、それなりの努力を必要とする。
まあ、これは、頑張って努力をしてみるより仕方あるまい。
問題は画風をどうするかである。
油絵が一番いいと思うのだが、そんなものは高校の授業以来何十年も書いていない。
最近ではパソコンでも絵を描けるので、そっちもありかなと思う。
さ~て、どうするか?
なのだが、とりあえずオーム字でも書こうかと思う。
これも調べてみると、3種類に分類出来るようだ。
日本独自のオーム字がひとつ。
インド由来のものが2種類。
オウムが採用していたのは、その2種類のうちの少数派の方。
このインドの少数派を、オウムが採用した理由は分かる気がする。
日本独自のものだと、念力密教のイメージが強いし、インドの多数派の方だと日本語とのなじみが薄い。
おそらくだが、書道の達人である岐部は、書かれた字を見て日本語としてみた場合の筆順が頭に浮かんだのだろうと思う。
まあ、書いたところを見たわけじゃないので断言は出来ないが、岐部はおそらく一番上にある点から書き始めていると思う。
上の部分を書いてから、下の部分を右から左へ書いているように見える。
日本語の漢字なら、そういう書き順になる。
ところが、実際のサンスクリット語の筆順では、左の下から書き始め、一番上の点は一番最後になる。
まあ、こういった事を考慮しながら、どんなオーム字にするのか、考えてみたいと思う。