もはやお忘れであろう。
とか、
そんな時代もあったよね。
とか、言いたくなってしまうほど、古き良き時代の物語。(笑)
その日の朝、確か7時ごろだったかと思う。
警備の交代の時間なので、富士山総本部道場の2階から持ち場へ行こうとしたところで呼び止められた。
いつもはやらないのに、その日はなぜかミーティングがあった。
警備の人数がいつもの3倍ほどになっている。
いつもは警備などやったことのない連中まで動員されていた。
全員が揃ったところで、報告があった。
「今日は警察の強制捜査があるので、皆さん気を付けてください。」(笑)
はっきり言って、意味が分からない。
今日は警察の強制捜査がある。
そう断定していた。
なぜだ?
なぜ、そう断定出来るんだ?
それともうひとつ。
気を付けるって、何をどうやるんだ?
相手が暴徒であれば、自分たちの身を守るために攻撃は許される。
しかし、警察相手にいったいどうしろと。
謎が謎を呼ぶ展開だが、普通に考えて警察の強制捜査があるかどうかなんて分かるはずがない。
おそらく、その場にいた全員が、どうせ誰かが適当なことを言っているんだろう。
その程度にしか思っていなかった。