そう言えば、入信前にも麻原が夢に出てきたことがある。
たしか生死を超えるを読んで、オウムの道場に電話をして資料を請求した夜だったと思う。
麻原が夢に現れた。
麻原は石井、新見、二宮、そして僕の知らない二人の男の弟子を連れていた。
そして、こう言ったのだ。
「みんな待ってるから、早く来なさい。」
正直ビックリ仰天である。
なんなんだこれは?
と思うのだが、オウムはそういう不思議だらけの集団なのだ。
中川に至ってはもっと大変なことになっている。
友人に付いて行っただけの大阪支部で、道場の外に立っていたら突然後ろから「中川。」と声をかけられた。
もちろん、まだ誰にも名前を名乗っていないし、全員が初対面である。
中川に声をかけた男は続けてこう言った。
「お前が来るのを待っていたぞ。」
その男が麻原なのだが、中川にとってはまさに悪魔に魅入られた瞬間という事なのだろう。