スコープを覗いたまま不思議な気がしていました。
拳銃だと照準が合っているのかどうか、素人では判断が難しい。
しかし、ライフルならスコープの中心を合わせるだけなので、照準が合っていないということは無いはず。
では、なぜ外れたのか?
ロシア人兵士の方を見ると、覗いていた双眼鏡を下ろしながら何か言っていました。
それを通訳が訳してくれたところによると、
「この風だと20センチずれる。20センチ左を狙え。」
ということでした。
なるほどね。
弾丸のスピードがあまりにも速いために、もろに空気抵抗を受けてしまってこの距離だとそのぐらいずれてしまうのか。
100メートル先の20センチがどのくらいかは分からないが、旗の長さを20センチとすれば旗の中心から旗ひとつ分左を狙えばいいことになる。
これも不思議な気がしましたね。
旗の中心から20センチ左ということは、旗の外側10センチのところであり、そこには何もありません。
まあ、本職の言っていることだからな、と思いながら狙いを定めて引き金を引くと、引くと同時に一瞬で赤い旗が視界から消えました。