ボツリヌス培養プラント34 | 法友(とも)へ

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遠心分離機のそばに林(小池)泰男がいた。


2台の遠心分離機はどう見ても中古品だったので、「これ、使えるの?」と聞いたら、林 泰男は「うん、とりあえず動くようにはした。」と答えた。



世間の人たちはこの男について偏ったイメージしか持っていないと思うが、普段は陽気で軽いノリで話をする。


しかし、この男なりにどうしても譲れない部分がどこかにあるらしく、そこに触れられると態度が豹変する「怒らせるとこわ~い男」なのである。




そして時間は流れ、すったもんだの挙句ではあるが、ようやくドラム缶の中の培養液を巨大プラントへと移すところまでこぎつけた。


これでボツリヌスの培養はいよいよ最終段階へと入ることになる。



それまで村井と一緒にワークをすることがなかったので分からなかったが、今回のワークで村井の言動を直に見聞きすることが出来た。


あるとき村井はタンクの上に登って両手で手すりをつかんだままぐらぐら揺れていた。


何をしているのかと広瀬に聞くと「立ったまま寝ているんです。いつもそうなんですよ。」と答えた。


広瀬は出家して以来、村井が横になっているのを一度も見たことがないそうだ。



そしてもうひとつ。


タンクの上から村井は見下ろすようにして「これで人類の救済や!」と叫んでいた。


この言葉を聞きながら、僕はたしかにこの巨大タンクの量があれば日本人全員にイニシエーションがいきわたるかもしれないなと、呑気そうに考えていた。



ポアすることが人類の救済になると本気で考え、全力でワークに取り組んでいた村井。


その村井が夢見ていた人類の未来は、いったいどんな姿をしていたのだろうか。