色々と書いているうちに段々と思い出してくるものだが、最初は人間の糞尿ではなく牛の糞を使っていた。
軽トラにごみバケツとスコップを乗せて近所の酪農家のところへ行く。
そこで牛の糞を分けて下さいと頼むのだが、当時からオウムは周辺住民から嫌われていたようで大抵は断られる。
それでも諦めずに何軒も回っていると分けてくれるところが見つかった。
実物のホルスタインのでかさにびっくりしながらも牛舎の真ん中の通路にスコップを持って仁王立ち。
牛たちはみなこちらにお尻を向けているので、糞をしたらそこへいってスコップでとってのついたバケツに入れて軽トラの蓋付きのごみバケツへと運ぶ。
やっぱりうんこよりおしっこのほうが回数が多いんだなあなどと思っていた。
まあ、相手はなんせシヴァ神の乗り物、丁重に扱わなければならない。
人間の糞尿には動物の糞尿にはない問題点がいくつか存在する。
まず紙。
動物は紙を使わないが人間は使う。
この紙をメタン細菌は分解できない。
そこで酵素を使って、セルロースを分解することにした。
糞尿を洗面器に小分けにして規定量の酵素を混ぜて待つこと数日、大量にあった紙が跡形もなく消えてなくなった。
しかし、生身の人間が日々の生活の中で排泄し続ける糞尿に、どのタイミングで酵素を投入するのが最も効率的なのか?
はっきり言って考えたくもない研究テーマだった。