さかのぼって
桜が満開からちょっと過ぎた頃、父と母、そして仕事仲間で花見をしたそうだ。
父と高校時代から、仲のいいHさんから
「社長。生命保険ぐらいははいっていたほうがいいよ。借金あるんやからさー」
と冗談交じりに言っていたと、母がいっていた。
だれもが冗談を冗談とし認識して笑った。
どこにも罪はない。


葉も青々と空に向かう八月。

父は咳き込んでいた。

家族のみんなは、風邪とおもっていた。ぼくも。本人も。

病院に行った。
風邪の薬を処方された。

毎日ゴホゴホ言いながら、仕事にいっていた。

父は、「しんどいしんどい。」といいながら、毎日朝から晩まで仕事をしていた。
現場での力仕事。取り引き先への膨大な書類作成。

僕は、朝の6時からレストランのバイトで、すれ違い。

どちらかというと、すれちがうようにしていた。


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いつから来だしたかわからないぐらい、よく裁判所から父宛にくる封筒。
僕は、こわくて封を切らなかった。
たぶん借金のことだ。

金にルーズな父が嫌いだった。
何年か前、僕名義でカードができてた。
新しいカードと満額きりきりまでの負債。

「毎月払うから」

父の代わりに母が、言った。

父も、僕が父を嫌いなことを知っていたのだろう。

いや、
嫌いとかじゃなくてもう生理的にだめだった。。。
考え方からまるで違う。

ずっと前からだ。

初めてあったときから。

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いや、
やっとすごいなとおもってきたところだったんだ。
これは、ほんとだ。

どんな姿さらしても家族を養う。
会社を続ける。
モノを作る。

だれの男の子供かもわからん子供を引き受ける。

大人になったらその大変さが、文字や言葉でしゃべるよりリアルに浸透する。
何となく感じるだけだけど、でも確かさには確証を持てる。

そう。
すごい。とおもったんだ。

俺は、できないよと。

そう思っていた矢先だったんだ。
風邪だって思ってたんだ。