タバコを買って帰る途中、アキヨシに会った。
アキヨシは、息子のコウヘイと幼馴染で30を過ぎた今でも仲良くしてくれてる男だ。
「おじさん、こんにちは。コウヘイと連絡とってますか?」
「いや、19の時に出て行ってから電話ひとつないよ」
コウヘイが19歳の時、大きな親子喧嘩をしてから、それっきりだ。
「去年、クラス会をやろうと思って、ハガキを出したんですが返事が無くて」
「そうだったんだ・・・何をしてるんだか」
ん・・・このご時世にクラス会?コロナで大騒ぎなのに。
「おじさん、もし連絡が来たら話を聞いてやってください」
「うん・・・分かった」
辻褄が合わないアキヨシの話が気になるが、そのまま家に帰ると間もなく買い物帰りの妻が言った。
「さっきそこでアキヨシ君を見かけたのよ」
「あっ、俺も会ったよ」
「私には気が付かなかったようだけど、なんかコソコソ電話してて・・・」
「コソコソ?」
「そう、それでね『ちゃんと言っといたから結婚の話しろよ』とか」
「結婚?」
「それと、『そっちに骨をうずめるつもりだということもな』とか言ってた」
「そうだったのか・・・」
アキヨシのやろう、もっと上手くやれ!と思ったが
それと同時に、友達思いな奴と仲良く出来てて良かった・・・とも。
大事なのは『変わってくこと』『変わらずにいること』
数日後、コウヘイから電話があった。
結婚したい人がいることと、もう少しこっちで仕事を頑張りたいと。
私は、そう妻から聞いた・・・
see you♪