昔から“病は気から” といわれていますが、近年では精神神経免疫学といって、心理状態が種々の疾患の発病や、治癒過程に密接に関連していることが、科学的に解明されつつあります。心の状態が、病気の発病や回復に大きく影響している。つまり、ストレスが免疫力を低下させるのです。


ストレスは大脳の扁桃体(へんとうたい)と密接な関係があります。扁桃体は、外からの情報に対して、快か不快かを判断します。不快と判断すると、脳内の視床下部の興奮を引き起こし、脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモンの一種が分泌され、副腎皮質ホルモンの分泌を促します。これがリンパ節へ運ばれ、免疫細胞であるリンパ球を減少させ、免疫を低下させることが確認されているのです。


逆に、ポジティブな心理状態は、免疫力を高めます。米国の大学の研究者たちは、ポジティブで積極的な感情が、風邪や他の病気の予防に役立つと報告しています。
被験者の感情のポジティブな傾向を3段階に分類し、それぞれのグループに風邪のウイルスを与え、その後、鼻孔内や喉の粘液を調査した結果、最もポジティブな傾向が低いグループで、最も高いグループの約3倍の人が発症し、またポジティブなグループほど、発症しても症状を軽く認識する傾向がみられたのです。