ある昼下がり、タカラマミーヤココのお城に賑やかな声が響きわたります。

 

『バボーーー!ボンバボボ!!バボボ!!』

 

なにやら、急須の魔人Tがまた怒っているようです。

 

そうそう、説明が遅れましたが、急須の魔人Tは基本的に「バボ」「ボンバボボ」しか話せません。

この「バボ語」と言うべきか、「急須語」と言うべきか、

「魔人語」と言うべきか・・・不思議でシンプルな言語、T語を理解できるのは、

妻であるタカラマミーヤココと、宝亀(タカラカメ)のオカメちゃんだけです。

 

急須の魔人Tは急須の中で生きているので、非常に世界が狭く、

急須というだけあって、とても怒りの沸点が低いのです。

 

小さなことで怒ったり、絶望したり、後ろ向きになったりする、かわいい一面の持ち主です。

タカラマミーヤココと真逆ともいえる急須の魔人Tのことが、面白くて仕方ないタカラマミーヤココ。

 

一切影響を受けることなく、この愛すべき魔人を大きな愛で受け入れ、見守り、連れ添ってきました。

 

例にもれず、今日もヤココは怒る魔人Tを見て楽しそうに笑っています。

笑っているヤココを見て、なにを笑っているんだー!!とまた沸騰する急須の魔人T。

微笑ましいループが、大いなる愛の中で、繰り返されています。

 

さてさて、今日は何にお怒りなのでしょうか。笑

 

『バボボ!ボバーボボ!!ボンボボ!!!』

 

どうやら、マロばぶにキレているようです。が・・・。

 

『???』

 

マロばぶは、きょとんとして、意味が分からないといった様子です。

見かねたタカラマミーヤココが笑いながら急須の魔人Tに言います。

 

『まーたそんなに怒り散らして…いいお湯が沸いたかい?』

 

その一言に、さらに怒りが沸騰して更にわめく急須の魔人T。

それがまた面白くて笑いが止まらないヤココ。

 

バボバボとわめいたり暴れたりしているうちに、

とうとう台の上から急須ごと床に転げ落ちてしまいました。

 

ごとん!ゴロゴロっと転がり、ちょうどマロばぶの足元、おしりの下あたりで動きが止まりました。

すると、そのタイミングでマロばぶが、くっさ~い、くっさ~い大きなおならを"ぷぅぅぅぅぅ~~~ん"!!!!!

くさすぎるおならは、急須の魔人Tに大直撃!笑

前回お話しした通り、マロばぶは“気分の悪くなるような思考” “ネガティブな思考”を食べると、

と~ってもくっさ~いおならか、げっぷをします。

 

マロばぶのおならは手強くて、あまりにくさくて、お城中に匂いが充満してしまうほどです。

 

ヤココはすかさず、そこら辺に落ちていたガスマスクを拾って装着し、オカメちゃんには魔法で空気のバリアを作りました。

そしてすぐに、オカメちゃんを抱えて外へでようとしています。

 

あまりの“くささ”に、また怒り心頭の魔人T。

不用心なことに、大声で叫びながら急須から天高く飛び出してしまいます。

 

『バボーーーーーーーーー!!!!!!』

 

その時にはもう、マロばぶも自分のおならの匂いに耐えきれず、外へ出ていました。

ヤココとオカメちゃんも、後に続き外へ出ます。

 

『ばっぼばっ…』

 

急須から飛び出してすぐに、匂いにやられて泡を吹いて落下する魔人T。

 

誰も居なくなったお城の中でひとり、床に倒れたまま意識を失ってしまいました。。。

命に別状はありませんので、ご心配なく。笑

 

 

 

あまりにくさいとはいえ、10分もすれば匂いも消えますから、安心してください。

 

 

外へ出たマロばぶですが、あっという間に空を飛んでどこかへ行ってしまいました。

自分がしたおならなのに、どこ吹く風です。笑

 

 

『すぐには城に入れないし、ちょっと森を散歩してみるかい、オカメ』

 

ヤココが誘うと、オカメちゃんは喜んではしゃぎます。

 

『わぁ~い。行く行く~~~』

 

オカメちゃんは大喜びで、とびっきりの笑顔で言います。

 

『ねぇママ~、わたしママとお手手つなぐ~~~』

 

『そりゃあんた、ママと手をつないだら歩けないだろう、四足歩行なんだから…』

と言ったところでヤココは閃きます。

 

…いや、ちょっと待ちな』

 

そして、天を仰いで大きな声で叫びました。

 

『おーーーーい!おーーーーーい!!だれか、聞こえないかーーーい!』

 

すると、いちばん近くに居た雲が返事をしました。

 

『なあに~~~?だれか、あたしのこと、呼んだ~~~?』

 

『呼んだ、呼んだ!あんたちょっと、ここまで降りてきてくれるかい』

ヤココが頼みます。

 

すると、するする~っと空から雲が降りてきて、楽しそうに聞きました。

 

『魔女のヤココが、あたしに何のご用??』

 

『ちょっと今からオカメと森へ散歩へ行きたいんだよ。それで、オカメが手をつないで歩きたいって言うんだ。。だから』

 

ヤココが言いかけたところで、続きを雲が言いました。

 

『この子を背中に乗せてヤココの歩く速さに合わせて飛んであげればいいのね!』

 

『話が早いね、そういうこった』

 

『お安いご用よ~!散歩なんてしたことないわ!!あぁ楽しみ!さぁ行きましょう』

雲はウキウキとそう言うとスイスイっとオカメを背中に乗せて、ふわっと浮き上がりました。

 

『わぁ~い、わぁ~い!』

 

オカメちゃん、またまた大喜びです。

 

『よし、これならお手手つないで散歩できるよ』

ヤココが微笑みながら、いとおしそうにオカメちゃんを見つめて言いました。

 

『行こ行こ~~~』

ヤココと手をつなぎ、わくわくとはしゃぐオカメちゃん。

 

『なんて素晴らしいの!さぁ出発よ!!』

 

雲もとっても嬉しそう。

 

さぁ、楽しい散歩のはじまりです。

 

 

30分ほどたったころ、ヤココとオカメちゃんは、やさしい雲に感謝を伝え、お城に帰ってきました。

 

『さぁて、愛する夫は無事かねぇ・・・』

 

そう言いながら、お城の中を探します。

 

ふとマロばぶお気に入りのソファを見ると、いつの間にか帰って来ていたマロばぶがまぁるくなってスヤスヤと寝ています。

 

ほほえんで、ヤココが近づくと、、、

マロばぶのふかふかのおなかに“ひしっ”としがみつくように抱きついて寝ている急須の魔人Tが寝息をたてて寝ていました。

 

それを見て、

 

『あんたってやつは本当に…』

 

ヤココはくすくすと小さく笑いながら、

 

『本当に、おもしろい性格してるよ』

 

そう言って、そっと小さな毛布をかけて、静かにその場を離れました。

 

 

 

 

『ねぇママ~~~、とってもたのしかった~~~』

 

しあわせそうに、オカメちゃんが言います。

 

『なんだか~~~…眠たくなっちゃった~~~』

 

ヤココはにっこり笑って、

 

『そうかい、そりゃよかった。ママも楽しかったよ。』

『好きなだけ眠りな、時間はいくらでもある…』

 

そう言って、オカメちゃんのベットにオカメちゃんをそっと置き、

柔らかい毛布をかけて、頭を撫でました。

 

そして、そばにあったロッキングチェアに腰かけると、ゆったりと、しあわせを味わい愛でるように、

くつろぎ始めるのでした。。。

 

今日のおはなしはここまで。

また会う日まで。それジャーニー!