AMP4E

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**AMP for Endpoints(AMP4E)**は、Ciscoの提供する高度なエンドポイントセキュリティソリューションで、エンドポイントデバイス(コンピュータ、スマートフォンなど)に対するマルウェア保護、脅威検出、インシデント対応機能を提供します。AMP for Endpointsは、従来のウイルス対策ソフトの機能に加え、クラウドベースの脅威インテリジェンスや行動分析を活用して、ゼロデイ攻撃やランサムウェアなどの高度な脅威からデバイスを保護します。

AMP for Endpointsの主な機能

  1. マルウェア対策とリアルタイム脅威検出:

    • AMP4Eは、ファイルの振る舞いを解析し、クラウドベースの脅威インテリジェンスと連携して新たな脅威をリアルタイムで検出します。従来のシグネチャベースの検知だけでなく、未知のマルウェアやランサムウェアも防御します。
  2. ファイルの連鎖追跡(File Trajectory):

    • ファイルがシステム内でどのように動き、拡散したかを詳細に追跡する機能です。感染経路や拡散状況を可視化することで、脅威の影響範囲や感染経路を迅速に特定できます。
  3. 脅威インテリジェンスとの統合:

    • Cisco Talosの脅威インテリジェンスと連携し、最新の脅威情報を利用してエンドポイントの保護を強化します。これにより、新たな脅威にも素早く対応可能です。
  4. レトロスペクティブセキュリティ(Retroactive Detection):

    • すでにシステム内に存在するファイルの挙動が後に脅威と判明した場合、遡ってその脅威を検出し、感染を隔離することができます。これにより、過去に見逃した脅威も後から対応可能です。
  5. エクスプロイト防御:

    • AMP4Eは、エクスプロイト防御機能を備えており、ゼロデイ攻撃や脆弱性の悪用を防ぎます。OSやアプリケーションの脆弱性を狙った攻撃にも対応します。
  6. サンドボックス(Threat Grid):

    • 未知のファイルをサンドボックスで実行し、その挙動を解析することで、マルウェアかどうかを判定します。これにより、リスクのあるファイルがネットワークに拡散する前にブロック可能です。

AMP for Endpointsの仕組み

  1. エンドポイントでの脅威検出:

    • AMP4Eエージェントがエンドポイントにインストールされ、各デバイスのトラフィックやファイル操作を監視します。ファイルがアクセスされるたびに、そのファイルが脅威かどうかをリアルタイムでチェックします。
  2. クラウドベースの分析:

    • AMP4Eは、クラウドと連携して脅威インテリジェンスを活用し、エンドポイントから収集したデータを基に脅威を分析・検出します。Cisco Talosのインテリジェンスを取り入れ、脅威の最新情報を常に活用できます。
  3. 脅威検出と隔離:

    • 脅威が検出された場合は、該当ファイルやプロセスを自動的に隔離し、感染拡大を防ぎます。隔離されたファイルは、管理者が分析を行って削除や復旧処理が可能です。
  4. 管理ダッシュボード:

    • 管理者は、AMP4Eのダッシュボードから、エンドポイントの脅威状況や隔離した脅威の確認、ポリシー設定などを一元的に管理できます。

AMP for Endpointsの用途

  1. エンドポイントセキュリティの強化:

    • AMP4Eは、ウイルス対策だけでは対応が難しいランサムウェアやファイルレスマルウェアなどの高度な脅威にも対応できるため、従来のアンチウイルスソフトよりも優れたエンドポイント防御が可能です。
  2. インシデント対応と調査:

    • ファイルの連鎖追跡やレトロスペクティブセキュリティ機能により、インシデント発生時の調査を迅速に行い、感染経路や影響範囲を特定して対応が可能です。
  3. コンプライアンス要件のサポート:

    • エンドポイントのセキュリティ強化を通じて、個人情報や企業の機密データを保護し、GDPRやHIPAAなどの規制を遵守するための基盤を提供します。

AMP for Endpointsのメリットとデメリット

メリット

  • 高度な脅威検知: マルウェア、ゼロデイ攻撃、ランサムウェアに対する高度な検出機能を備えています。
  • リアルタイム保護とインシデント対応: クラウドと連携したリアルタイム保護と、過去の脅威の追跡機能により、迅速なインシデント対応が可能です。
  • 集中管理: ダッシュボードを通じて一元的な管理が可能で、エンドポイントのセキュリティを効率的に管理できます。

デメリット

  • コスト: AMP for Endpointsの導入やライセンス費用は比較的高額な場合があり、中小規模の企業にとっては負担となることがあります。
  • インターネット接続依存: クラウドとの連携を前提とするため、インターネット接続が不安定な場合にリアルタイムでの脅威検出が難しくなることがあります。

まとめ

AMP for Endpointsは、従来のアンチウイルスを超えたエンドポイントセキュリティソリューションとして、最新の脅威にも対応できる優れた防御機能を提供します。高度な脅威検知、振る舞い解析、脅威インテリジェンスとの連携により、エンドポイントからのセキュリティインシデントを最小限に抑える効果的なツールです。