Cisco Aironetシリーズのアクセスポイント(AP)には、Cisco IOSベースのCLI(コマンドラインインターフェース)を使用して設定や管理を行います。以下は、Aironet APで一般的に使用されるコマンドの例です。これらのコマンドは、デバイスの設定やトラブルシューティング、ネットワーク管理に役立ちます。
1. 基本的な設定コマンド
1.1 デバイス情報の確認
bash
show version
- デバイスのソフトウェアバージョン、ハードウェア情報、起動時の設定などを表示します。
bash
show running-config
- 現在の設定内容(ランニングコンフィグ)を表示します。
bash
show interfaces
- すべてのインターフェースの状態(アップ・ダウン)、トラフィック情報を表示します。
1.2 デバイスのIPアドレス設定
bash
configure terminal
interface BVI1
ip address 192.168.1.10 255.255.255.0
no shutdown exit
- 仮想ブリッジインターフェース(BVI1)にIPアドレスを設定します。BVIインターフェースは、APの管理IPを設定する際に使用されます。
1.3 ホスト名の設定
bash
configure terminal
hostname Aironet-AP1
- APのホスト名を設定します。ホスト名は、ネットワーク内での識別名として使用されます。
2. ワイヤレス設定関連コマンド
2.1 SSIDの作成
bash
configure terminal
dot11 ssid Guest_Network
vlan 20
authentication open
guest-mode
- 新しいSSID(
Guest_Network
)を作成し、VLAN 20に割り当てます。authentication open
はオープン認証(パスワードなし)を設定します。
2.2 WPA2-PSK(事前共有キー)の設定
bash
configure terminal
dot11 ssid Secure_Network
vlan 30
authentication open
authentication key-management wpa version 2
wpa-psk ascii 0 MySecurePassword
- WPA2-PSK認証を使用するSSID
Secure_Network
を設定し、VLAN 30に割り当てます。wpa-psk ascii 0
で事前共有キー(パスワード)を設定します。
2.3 無線インターフェースの設定
bash
configure terminal
interface dot11Radio 0
ssid Guest_Network
channel 6
power local 14
no shutdown
- 無線インターフェース
dot11Radio 0
を設定し、SSIDをGuest_Network
に設定、チャネルを6に設定し、出力パワーを14 dBmに設定します。no shutdown
コマンドでインターフェースを有効化します。
3. セキュリティ設定関連コマンド
3.1 ローカルユーザーアカウントの作成
bash
configure terminal
username admin privilege 15 password myAdminPassword
admin
ユーザーアカウントを作成し、管理者権限(privilege 15)を付与します。
3.2 SSHの設定
bash
configure terminal
ip domain-name mynetwork.local
crypto key generate rsa
- SSHアクセスを有効化するためにドメイン名を設定し、RSA暗号鍵を生成します。
3.3 HTTP/HTTPS管理の無効化
bash
configure terminal
no ip http server
no ip http secure-server
- HTTPおよびHTTPSでの管理アクセスを無効化し、セキュリティを強化します。
4. トラブルシューティングコマンド
4.1 接続クライアントの確認
bash
show dot11 associations
- 現在接続しているクライアントデバイスの情報を表示します(MACアドレス、接続SSID、信号強度など)。
4.2 無線周波数の状況確認
bash
show controllers dot11Radio 0
- 無線インターフェースの状態や、チャネル利用状況、送信電力、エラーパケット数などの情報を表示します。
4.3 アクセスポイントのログ確認
bash
show logging
- APのシステムログを表示し、トラブルシューティングに役立てます。
4.4 インターフェースの詳細情報
bash
show interfaces dot11Radio 0
- 無線インターフェースの詳細情報を確認します(送受信パケット、エラーパケット、チャネル情報など)。
5. 無線LANコントローラー(WLC)関連コマンド
APがWLCに管理されている場合、WLCとの接続ステータスやCAPWAP(Control And Provisioning of Wireless Access Points)トンネルの状態を確認するコマンドを使用します。
bash
show capwap client config
- APのCAPWAPクライアント設定を表示し、WLCとの接続情報を確認します。
bash
show capwap client rcb
- APとWLCの接続状況(CAPWAPトンネルの状態、WLCのIPアドレス、状態など)を表示します。
まとめ
これらのコマンドは、Cisco Aironetアクセスポイントの設定、管理、トラブルシューティングに役立ちます。環境によっては、さらに高度なコマンドを使用する必要がありますので、特定の設定や問題解決について詳しく知りたい場合は、さらに具体的な情報を提供できますので、お知らせください。