かたまり | 恋愛小説家

かたまり

「先におふとん入ってて。」と言ってから、

少しキッチンを片付けていたら

思ったより時間がかかってしまった夜。


すっかり眠りの世界にいる人を起こさないように

そっと毛布をあげて洞穴に滑り込むと

ひとの形をした、温かいかたまりが

背中を丸めて寝息を立てていました。


その輪郭に沿うように身を寄せ、抱きしめてみます。

静かに上下する、大きなかたまりが「そこにいる」ことが嬉しくて

つい、口もとが緩み笑ってしまいます。

「くっくっく」と必死に声を立てず目じりに皺をよせて。

しっとりとしたあなたの匂いが本当に好きで好きで

条件反射で笑ってしまうのです。


じっくりぽかぽかと伝わる温度さえも

逃したら勿体ないほどいとしい。

このぬくもりはここにしかありません。

生きている、眠っている、そこにいる、ああ良かった

たからものなのです。あなたは、私の。