late teens
「陸上していたころ、大会で来たことある。」
晴れていればスケボーの群がいる競技場横の広場は、
昼間の雨の名残で人気もなく、つるつるした路面が鈍く光っていた。
ナトリウム灯が霧雨をオレンジに照らす公園通り。
いつもの野良猫の姿も見えず、水を跳ね上げふたりぼっちで歩く。
門限を破っているのは承知だったから
どこか落ち着かず、そわそわしているのに
そのまま離れていってしまいそうな予感に押しつぶされ
それでも、もう帰らなきゃ、と言いだせない心苦しさでいっぱいだった。
せめて星さえ見えていれば、気の利いた言い訳も思いつきそうなのに。雨粒は散り際の桜を大方落としており、
サイドミラーに花びらを張り付けたまま走った。
制限速度では飛んで行かない、祭りのあとに切なくなる。
少し前まではいつだって手をつないでいた
触れあわないままの右手に、塗りたてのマニキュアがにおった。
大人の理に適う説明とか、物事の順序立てとかいうものを、
出来ないわけじゃなかった。ただ時間と手間を惜しまなければ。
明日が来るのを静かに待てば良いものを、ただ待てなかった。
恋を育てるには、ただただ、未熟で若かった。