焼けぼっくいに火 | 恋愛小説家

焼けぼっくいに火

朝、にわか雨に濡れながら1週間分のごみを捨てに出た。

湿気で重くなった灰色の雲。

これ以上は抱えきれないと言って、空が泣いている。

まるで私と同じだと、生ぬるい土埃に咳払いをする。


何となく、切ない。

何となく、原因は分かっているけれども。


虚ろな気持ちで痛みを包みこんだ。

多くのことに目を瞑り、感じないように、考えないように。

意識的に鈍感でいることを選び、からがら生きている。

たぶん今もとても逢いたい。

「やっと私に戻れた」と安堵しているこの心は、薄氷さながら脆い。


本気を出せば、また逢えるのは分かっている。

一通りの関係を繰り返して疲弊するのは

自ら蜘蛛の巣に飛び込んでいくようなもの。

縺れて、掘り返した熱で焦がされ、もがきながら

ゆるやかに駄目になっていく自分が見える。


私だって、泣きたい気がする。

だけど独りで泣くのはもっと寂しい。

いっそ嵐がきたなら声を上げて泣ける気がするのに。

こんな風にぽつぽつと、気まぐれな雨では泣けない。


何も残らない関係。それなのに何もかも奪われていった。