ホロリ | 恋愛小説家

ホロリ

朝に地震があって、頬にうつ伏せた寝癖のついたまま

大きいな・・・と立ち上がり雨戸をあけました。

去年の震災後からたびたび地震がくる夢を見ますが

風呂上りだったり、料理中だったり、室内着だったり

着の身着のままで(ひょっとしたら裸であっても)

飛び出さないといけない状況になる心境はリアルで

目覚めたときに「ああ夢だった」と安堵の息をつきます。


眠る前には、次の朝がやってくると信じて疑いません。

それでいて、どんなことがあっても不思議じゃないと、

薄氷のようにあいまいな覚悟もあります。

わずか振動で壊れたり、また、厚い氷になったりもする

ギリギリの一帯で保たれたバランスに緊張するのです。


しあわせだった一日の終わりには、おしゃべりしながら眠りにつきます。

眠気と言いたいことの波が押し寄せてくると

鈍っていく感覚のなかで、最後の一言に何か伝えたくて

ただ「おやすみなさい」と抱きしめることしかできません。


今日も良い日だったね、あったかいね、

さっきはごめんね、いてくれてありがとう、愛しているよ


短い言葉に、いろんな意味と想い、願いを込めて

明日も“あいかわらず”でいられるように眼を閉じます。

すると、祈りにも似た神妙な気持ちになって

しあわせなのにホロリと泣きたくなるのです。