バイバイ。 | 恋愛小説家

バイバイ。

学祭で見たのは、知らない人だったよ。

「ダサいエプロンだから来ないで。」
敬遠されているのを気付かない振りして、

一目姿を見に行ったのは、ただ逢いたかったから。

お客の振りして現れてみたら、ふざけて笑ってくれたらよかった。

なのに彼はバツが悪そうに、急に伏し目がちになった。

でも、見ちゃったんだ。

なーんだ。
そんないい顔で笑えるんじゃない、そんないい声で話せるんじゃない。

私の前とは違う姿に、何だか妬けた。

まるで知らない人みたいで、

私は自分の居場所がどこにも見つからなかった。

駅から20分の路を、とんぼ返りで歩いた。

「適当に見てって。」

彼の台詞は、早く別のところに行けとばかりにおざなりだった。
来なきゃよかった、でも見届けたいことがあった。


彼女のこと、わかったよ。

悲しいな、私が消えたら安心するんだろうから、悔しい。

だけどサヨナラだね、サヨナラしなくちゃ、

サヨナラしてあげる、サヨナラされる前に。

髪についた屋台の煙ごと、切ってしまおうと思った。

ごみ箱がいっぱいになるほど、胸は空っぽだった。もう逢わない。

バイバイ。