手がかり | 恋愛小説家

手がかり

ぱちん、ぱちん。


化粧っけのない爪を切ります。

不精さゆえ、すっぴんばかりの私。マニキュアはほとんど塗りません。

最近は夏の日和。サンダルを履く日が増えたので

足元ぐらいはカラフルに・・・なんて、

何年も使い切れない小瓶を手に取ります。



10年ほど前のこと。

職場の飲み会で、いい具合に酔っ払った上司と

どういう経緯か、本について話すことがありました。


半分ぐらい、呂律の回らない口調ながら

「この本が、い~から、読みなすわぁい。」と、

真っ赤な顔で力説された一冊があったのですが

なにしろ、かなりお酒が入っているようで

誰の書いた、何という本なのかハッキリしない。


お酒の席での会話など、次の日には忘れてしまうでしょうし

翌朝すっかり正気に戻ったところで、わざわざ隣りの部署へ

(私には直接かかわりのない上司だったため)

「昨夜、教えていただいたのは何という本ですか?」と聞くために

垣根を越えていくのもどうなんだろう?というためらいから

結局あいまいのまま、終わってしまったのでした。


・・・という、記憶が

長いこと心の隅に引っかかっていました。

実はこれまでも、何度か

「あの時の本は何だったんだろう?」と思い返していたのですが

今ごろになって、ちゃんと調べてみる気になりました。


手がかりは


山の話。ノンフィクション。

登山者が二人いて、遭難する。

仲間を見捨てられず、ともに死を選ぶ。


人はたびたび、「死にざま」ばかりを取りざたすが

「生きざま」にこそ、胸を打たれるのだ・・・

という、上司の感想。


「○○の△△」というタイトルで、後半はカタカナだったはず。


インターネットは便利ですね。

「風雪のビヴァーク(松濤明 著)」に違いありません。

という訳で、さっそく図書館に予約を入れました。


ずっと気になっていたのに、なぜ「今」なのでしょう。

もしかしたら、今だからこそ紐解けるメッセージが

本のどこかに隠れているのかもしれません。

些細なことでも、実行する。

そこには何か意味があるはずだと思います。