私の町から | 恋愛小説家

私の町から

毎日

この並木道を歩いています。

見慣れた風景、緑、車の列、子どもたち、はとの群れ。

きまったタイミングで信号が赤になることも覚えてしまいました。

知らなかった場所が、いつしか落ち着く、

私の町になっていました。


最近は、新緑の枝がすがすがしく

昨日と同じ色をしているなぁと、雨上がりの空を見上げています。
木々が、ひと月前は裸だったことなど、

目の前の姿に見とれるあまり忘れてしまいました。

ひと月先には青々と力を蓄えた緑に変わっているのでしょう。

大きな葉を広げ、充実した青年の顔になっているはずです。


みずみずしい緑が雨粒をはじく様は

私の涙よりも どれだけ美しいことか。


明日

この並木道をまた歩いていきます。

見慣れた風景、緑、車の列、子どもたち、はとの群れ。

赤信号のタイミングも、まるで同じように

きっと明後日も何一つ変わっていないと

思っていました。


私はそうやって景色をほんの数分かけて通り過ぎ

今朝の嵐で芽吹いたばかりの

若い小枝がもげていたことに気づかずにいたのです。


ただ一日でも緑の色は変わっていくということや

私の町から、あなたがいなくなることなどに

無関心でいられた自分を恨みました。


「変わらない」ことなどありえないものだと

うっかり涙ぐみ、

またしてもツーンとした鼻をかみました。