彼女になりたい | 恋愛小説家

彼女になりたい

ずいぶん前から私たちは

どこから見ても恋人同士です。

ナイスカップル大賞もいただきの

自称、お似合いすぎるふたり。

 

だからこそ、今さらどうして

「あなたの彼女になりたいです」と

言い出せずにいました。

 

いきなり何でも話せたあなたとは

急速に親しくなりました。

どうにも止まらず仲良くなりすぎて、

いくつか順番を飛ばしてしまいました。
 

「付き合ってよ」なんて言わなくても

私はつきあい、あなたもつきあってくれます。

左手がリレーのバトンを待つみたいに

一歩手前でひらひらしているのです。

 

それなのに

決定的な一言は口にしない、不思議なふたり。

けれどあなたのキスはとても甘く、混乱するばかりで

好きだ好きだと伝え合っても

どこか一方通行みたいに、切なさが胸にくすぶります。

 

人として惹かれあう私たちを

あえて定義するならば、何と呼ぶべきなのでしょう。

けれども誰かに訊かれたならば

「大好きな、彼です」と紹介したいのです。

 

今日、あなたが切り出してきたのは

ふたりの繋がりを確かめるための問いかけで

つい真顔がほころび、笑ってしまいました。

私とまるで同じことを考えながら

長いこと「確認」するタイミングを見計らっていたという

あなたの気持ちが嬉しすぎて、可笑しすぎて。

思わず、テーブル越しに顔を引き寄せて口づけました。

 

こうして何ヵ月も経ってから

私はあなたの彼女になったのです。