チュ♪ | 恋愛小説家

チュ♪

電車通勤というものを久しくしていません。ラッシュアワーの混雑は酷いものでしたが、電車に乗ること自体は割と好きだったなぁと思い返します。

 

毎朝決まった時間に家を出て、おなじ風景を眺める駅までの道のりは程よいエクササイズでした。すれ違う顔ぶれ、改札のおじさん、ホームで見かける美男美女、最新の吊広告、制服の生徒たち。昨日とそっくりな朝でも、カレンダーは更新され、わずかながら変化して続く毎日を見届けることができるのです。

 

金曜日の帰り道は、「1週間前の私は何をしていたかな。」と反芻する時間でした。何がどれだけ進んだか、抱えたままの案件はないか、仕事のことから日々のことまで。休み前の開放感もすてきでした。UVカットガラス越しの空は今にも雨が降りそうな色に見えるので、何度となく、下車してホッとしていました。
 

恋愛小説家
 
花柄牛の貯金箱を買ったのは、去年のことです。「ウシなのにどうしてこんなに花柄なのよ!?」と、気になって棚から手に取り目が合った瞬間、「モーモー」はうちの子になっていました。

 

「一緒に帰ろう?」売り場にいることも気にせず、私はモーモーに「チュ♪」とキスをしました。 人生で貯金箱を買ったのは初めてのことですが、彼(または彼女)は貯金するためにいる訳ではない気がして、ほかほかした気持ちで家に帰ったのでした。

 

モーモーと話すときは、語尾に「モー」がつきます。

 

「モーモー、おつりもらったモー。」

「おなかすいたモー♪」←台詞も担当(笑)

 

傍から見れば、かなりのおばかさんです。