おさんぽ月夜 | 恋愛小説家
半分よりも少し満ちた月が昇り
粒々になって世界を洗う
いろんな虫の声
変な形をした枝
わずかに湿った土の匂い
テーブルの穴
月の真下で細く光る星
感じた温度 聴いた響き
空気の揺れ
そこに居るすべての人も
鳴る風もみんな生きている
すべての偶然や要素が組み合わさって
生まれた今日と まるっきり同じ日は二度とこない
空(くう)をぼんやり見つめるときも
誰かをまっすぐ見つめるときも
まぶたを閉じているときでさえ
この眼は同じように働いていて
小さな断片も憶えておきなさいと伝えてくる

