妻が最初に自分のガンを伝えたのは、妻の親友だった。


私は、その時出張中だった。


私がガンのことを知ったのは、その1週間後

妻と病院に行って、医者から説明を受けた時だった。

 

それまで、妻は少し様子がおかしいだけで、悲しそうな顔はしなかった。




先日病院に行った時、妻が、どんな気持ちで告知を受けたのか、気になった。


だから、今日の夜電話で親友さんに聞くことにした。


親友さんは、快く応じてくれた。





親友さんは、当時妻と年末年始に会いたいと話していたそうだ。


ある日、妻から年末年始は会えないとメッセージが届いた。


何回かやり取りすると、妻から電話がかかってきた。


世間話をしていると、実は、と病気のことを聞かされたそうだ。


私は、どんな様子でしたかと尋ねた。



1人でがんセンターに行って、怖かったんじゃないのか。

それがただ心配だった。




そしたら、親友さんは、




旦那さんのことを、とにかく心配していましたよ。

自分のことよりも、旦那さんや子どもたちのことを心配していました。

旦那さんに話せば、きっと旦那さんは泣いてしまうから、言い出せないって言っていました。

すごいなって思いました。



と言われた。


その言葉を聞いて、私は泣いてしまった。





私は、1人で宣告されて、病気のことを抱えて、辛かっただろうって思っていた。

なんであの時家にいてあげなかったんだろうって、後悔して

1人で、抱え込ませてごめんって思っていた。  




なのに、


妻は、私の心配をしていた。

子どもたちのことを想っていた。


それを知って、私はただ泣いてしまった。


妻の愛情を感じて

涙がとまらない。



親友さんとそのまま少し話して、慰めてもらった。


お互いに身体を大事にしましょうと話して、電話を切る。







電話を切った後


またしばらく泣く。





あぁ、妻に会いたい。