通夜の日は、バタバタだった。


遺髪を取ったり、妻の化粧に注文つけたり


葬儀場に飾る写真を用意したり、当日流すCDを探したり葬儀の連絡をしたり




でもその分、綺麗な会場になった。


妻は、とても綺麗だった。


会場では、MISIAのアイノカタチを流してもらった。



病室でよく聞いていた曲だった。


一人、会場で妻を見る。



涙があふれる。

これから、お別れをすると思うと、胸が苦しかった。




なるべく落ち着いて、焼香台のそばに座る。


喪主として、挨拶をしなければいけなかった。



一般焼香の時間は2時間設けた。

日曜だったし、どれだけ来るかわからないけど、とにかくたくさん連絡したので、それなりには来るだろう


そんな気持ちだった。



時間になり、来られましたとスタッフさんに声をかけられる。



出入り口を見つめる。



男の人が、ぞろぞろ入ってきた。


大柄な人ばかり


見た瞬間に、泣き出してしまう。




最初にきてくれたのは、駆けつけてくれたのは、私の職場の上司や同僚だった。


職場には一応報告していた。


でも誰も来ないと思っていた。


そしたら、何十人も来てくれた。



異動で職場が変わった上司も大勢来てくれた。


以前お世話になった課長、上司、同僚が遠方から来てくれた。


みんな、焼香して、私のところに来る。



頑張ったな

力になるから

大変だったな



介護休暇を取って、ずっと心苦しかったのに、たくさん温かい言葉をかけてくれた。


その後も、時間帯はバラバラだけど、何人も職場の人が来てくれた。




その後、大学の同期や後輩たちが来てくれた。


みんな遠方なのに、新幹線で来てくれた。


会う度に、みんな抱きしめてくれた。


頑張りましたね。

愛ちゃんは幸せでしたよ。

お疲れ様でした。


たくさんの言葉をもらった。



ママ友もたくさん来てくれた。


みんな、愛ちゃんが会いたがっていた人だった。

だけど具合が悪くて、会えなくて


棺にいる愛ちゃんをみんな褒めてくれた。

よく頑張ったね


その言葉が、妻の救いになっている気がした。



ほかにもたくさんの人が来た。


子どもたちの通う先生もたくさん来てくれた。

妻の職場の人も来てくれた。

妻が元気だった頃にお世話になっていたハウスメーカーの人も来てくれた。



みんな、私と一緒に泣いてくれた。

悲しんでくれた。


それが嬉しかった。


長女と長男は、私のそばにいてくれた。



長女は、たまに、



愛ちゃん!愛ちゃん!

一緒に遊ぶって約束したでしょ!!


と泣き叫んでいた。


長女が愛おしくて、一緒になって泣いた。


焼香に来た人も、泣いていた。


お通夜も無事終わった。




不思議な感覚だった。

たくさん泣いて、悲しいのに、たくさんの人が妻と私のために駆けつけてくれた。

それが心地よくて、幸せだった。




その日は通夜の控室で休むことになった。


私と長女と長男


そして愛ちゃん





4人の最期の夜


子どもたちとたくさん遊んだ。

折り紙したり、絵を書いたり

たまに、妻の側でみんなで泣いたり


長男も、ママと言って泣いていた。


たくさんたくさん泣いて、泣きつかれて眠った。