妻の容体は、一旦安定した。


チューブを入れてもらい、アイスや味噌汁、飲み物を飲んでいた。


飲み込む力が弱くなったと思ったが、今日はむせておらず、落ち着いたようだ。



眠る時間は長いが、今は休む時だと思う。




それと並行して



お義父さんが限界を迎えた。


色んな人から色んな形で連絡が来たが、

要約すると、妻の弱っていく姿に耐えられず、弱る責任を私やその周りと思い込み、20日でもう一家まとめて撤退すると宣言したらしい。


私のところには、一言も連絡がなかったが


別に恨まないし、仕方ないと思う。


長い闘病生活で、支える側はやっぱり疲れる。




お義母さんやうちの父、親族と相談して、20日以降は、私一人で妻と子どもたちの面倒を見る。


子どもたちを預ける先を探しつつ



そうなれば、妻のそばにいられる時間は、限られてくる。


手伝える人がいなければ、仕方ない。

元々、その覚悟もしていた。



医者にも相談した。


衰弱が進んでいて、今週、来週には昏睡状態になるだろう。


そう言われた。





だんだん、周りが限界を迎えていく。

その中で、不和が起こっている。

行き違いや考え方の違いもあるのだろう。


私達家族は、どんどん頼れる人が減っていく。




それなのに


意外と、穏やかな気持ちになっている。


諦めたわけではなくて、


周りの音がなくなって、静かになっていく感覚だった。



病室では、その話はしなかった。


妻の周りは、穏やかに過ぎて欲しい。


そんな私に、



焼き肉食べたい



なんて、言い出す。


面白くて、少し笑う。

妻も笑う。



思い出しで、妻に手紙を見せる。


妻の職場の方々からだった。昨日届いた。


たくさんのトマトと一緒に、手紙が届いた。



妻に、読み聞かせる。


何度も頷く妻


嬉しそうに笑っていた。



読み終わった手紙を持って、今は寝ている。


穏やかに眠っている。


少し起きると、手紙を離さないように、握り直す。


この穏やかが、ずっとずっと続いて欲しい。


せめて、妻の周りだけは