夕方のお母さんとの交代はなくなった。



夕方の回診を受けたところ、微熱で血中酸素濃度が92%だった。

初めてだった。

妻の体調は悪くないが、少しクラクラするらしい。


妻に聞くと、心配だからそばにいてほしいと言うので、一緒に過ごすことになった。



過ごしてみれば、平和な夜だった。


夜はほとんど寝ていた。



翌朝も体調は良く、私はお父さんと交代して帰った。




帰宅して、とりあえずお母さんに謝った。


昨日は、言い過ぎた。


その後子どもたちの準備をして、お母さんに送り届けてもらう。



私は、泥のように眠った。





昼過ぎ


スーツを着て職場にむかった。


介護休暇の延長手続きだった。



今回の手続きで、8月2日まで休みを延長する。

その間の給料は出ない。


正直、部署替え後初出勤で、ものすごく行きたくなかった。


どんなふうに思われるのだろうと、不安だった。



スーツを着て、ヒゲを剃って行った。


行ってみれば、知っている人、知らない人、みんな優しかった。

心配してくれていた。

仕事は気にしないでと何度も言ってくれた。


本当にみんな優しかった。


上司は、


お前の戻る場所はちゃんとあるから心配するな

今は、家族に全集中する時

諦めずに頑張って

なんでも手伝うから、いつでも連絡して


と言って、お見舞いを押し付けてきた。

声が、出なかった。

泣かないって決めてたのに、目がうるむ。



私の席はきちんと残っていた。

机には、たくさんのお菓子が入っていた。


私の席が残っていることさえ、嬉しかった。




仕事に戻りたい

何も考えず、ただ働きたい

恩返しがしたい

逃げたい



その気持ちを殺して、手続きを済ませた。



手続きが済むと、隣の席の係長がお菓子をジャンジャン出して、私のバッグにつめた。


たくさん食べて!お子さんたちと一緒に食べて!



皆さんに頭を下げて、家に帰る。



帰ってスーツを脱いで、また休む。

起きていられない。眠たい。



夕方、子どもたちを風呂にいれて、夕食


これから病院




介護休暇で1か月


状況は、一進一退


それでもやれることをやる

軌跡を信じて、頑張る