妻は、アイスココアとポカリスウェットとサーティーワンのレモンシャーベットが欲しいと言う。


妻は、昨日と見違えるくらいよく喋った。



主治医の先生がきて、


すごいですね。


と笑っていた。




妻は、今日からリハビリを受けたいと言った。


運動するとまた具合が悪くなるから、マッサージ等から始めたいそうだ。



妻と私は、諦めていなかった。

前回はすぐに歩いたりストレッチしたりと、無茶をしていた。

今回は体力を回復するまで、じっくり待つ。

その間、電解質系の水分をこまめにとる。

抜かれても微量は入る。

チリツモだ。


そんな話をしていたら、味噌汁飲みたい、アイス食べたいと言い出す。


それが、この上なく嬉しい。


それと同時に、遺言書を書こうと話す。

弁護士をしている友人のススメだった。

もし万が一の結果で全てが終わったあと、負担を少しでも減らすために残すほうがいいと言われた。

言いづらいことだけど、大事なこと

それを指摘してくれる友達はいつでもありがたい。



私と妻は、書き方等を教わり、準備することにした。

今日中に書こうと話す。



お父さんと交代して、一旦帰宅しようとする。


妻は、キョロキョロしていた。


不安だと言った。

具合が悪くなることが怖いと言った。


なだめる。

頭を撫でる。


本当は一緒にいたいけど、ここは我慢



お父さんに任せて帰った。



家に帰ると、私の母が応援に来てくれた。

妻のお母さんと引き継ぎをする。


と言っても、柔軟に対応しようと話しただけだった。


妻をみんなで支えて、子どもたちも育む。


目処は立たないけど、ただ愛ちゃんを信じるしかない。




引き継ぎを終えて、買い出しリストのものを買って病院へ


妻は、早速アイスをパクパク食べていた。




不安も和らいでいたので、妻の両親に妻を任せて帰宅、仮眠


子どもたちと母を連れて、少しだけ面会をする。


長女はダンスを披露

妻は手を叩いて喜んだ。


帰って仮眠


その間、妻のところには妻の両親とおばさんが付き添ってくれた。

鍼灸師のおばさんがオイルマッサージ等をしてくれたそうで、すごく良かったとメッセージが来ていた。

体調も良くなって、パピコを初めて一人で一本食べきったそうだ。




私は、身体を休めて夜から病院へ


遺言書に必要なハンコや封筒を持っていった。




付き添い


妻は、とにかくオーエスワンやイオンウォーターをこまめに飲んでいた。


一度に飲む量も増えていた。


また、尿の頻度と量も増えているようだった。


妻から、たくさん出るから怖いと言われ、私も

終末期 尿

等と検索していた。


ただ、衰弱すると尿の量は減るというのが一般的らしく、看護師さんに聞いても問題ないといっていた。


飲んでいる水分が、きちんと吸収されているのでは?


そう、思いたかった。


妻の口数は増えて、冗談を言う余裕があった。

不安な様子も減っていた。

元気な妻を見て、遺言書のセットを渡すことを躊躇した。

後でにしよう。



夜は3時間寝たあと、1時間おきに起きて、水分を取っていた。

後半は、自分が寝ながら手に届く位置に水分を置き、自分で勝手に飲んでいた。


目がぱっちりさめた時は、タブレットでお笑い番組を見ていた。

笑っているかと思ったら、見ていたら眠たくなってきたと言い、またぐっすり寝た。



私は、病室に敷いた布団で寝て起きてを繰り返した。



そしたら夢を見た。


主治医の先生に呼ばれて、妻の死亡確認をする夢だった。

先生が検案書に死亡確認時間を書ききった瞬間、妻がこの世からいなくなった実感が湧いて、一人ぼっちになって、泣き崩れていた。


大きな声を出して飛び起きてしまう。


妻が、どーしたの!?と聞く。


妻の手を握る。


よしよし。こっちにおいで。

怖い夢見たんだね。


元気になってきた妻は、子どもをあやすように私を宥めた。


その後は、眠るのが怖くなって、でも眠たくて寝てはすぐ起きていた。


覚悟はしたはずなのに、やっぱり、私には無理かもしれない。






カーテンを開けて陽の光を部屋にいれる。


妻は、


うわー朝だね!


と明るい声をだす。

昨日の朝より、明らかに体調が良い。

妻は、寝ている間好きな時にこまめに水分を取れたので調子が良いと言った。 


私は、窓を開けて空気を入れ替えて、部屋を片付けて、ラジオをつけて

テキパキ動いた。


そのうち、妻の両親とおばさんが来てくれた。

昨日はウチのアパートにみんな泊まってもらった。


おばさんがオイルマッサージを始めたので、やり方を教わる。


オイルを用意して、エッセンスを数滴垂らして、足から順番にマッサージ

擦るようにマッサージ

お腹は直接揉まないで、脇腹をゆっくり、時間をかけて

明日からは、私がやろう。



そうして、引き継ぎを行い帰宅する。

妻は、昨日の朝のような不安な顔はしなかった。


またねと明るく言って送り出してくれた。



遺言書のセットを渡せないまま、私は帰った。