長女と私で妻の面会



妻の点滴交換などで暫く談話室で待つ



長女がいう


ママ死んじゃだめだよね



そうだね。



ママ死んだら、、許す

ずっとずっとずっと許す!



許さないじゃないの?



だって、ママ好きだもん。

ずっとずっと好きだから。



声が、でなかった。

なんで、こんなにいい子なのだろう。



ママとたくさんお話しようね。




病室へ


妻はうっすら意識があった。


長女が枕元に立つ。


妻に、なかなか話しかけない。


ママに、お話して。



長女は、


ママ、絶対に元気になってね

好きだよ。大好きだよ。愛してるよ。

世界で一番大事だよ。

だから、元気になってね。

絶対にだよ。


ゆっくり、寝ている妻に言い聞かせていた。


妻は、ずっと頷いていた。



ママとお花見に行きたい。

4月だから桜が咲くよ。

お弁当食べたい。

ママの顔が好き。

ほっぺが好き。

ママ、今日からバラ組だよ。

友達は一緒だよ。



いろんなことをゆっくり話す。


妻は、うまく回らない口調で、


好きよ。愛してるよ。


と伝えた。



長女に、愛ちゃんをなでてあげてと言う。


頭を撫でて、ほっぺを撫でて、手を撫でて、



愛ちゃんに撫でてもらおうと言うと、長女は妻の手元に頭を置く。


妻の手を持って、長女の頭に

震えながら、撫でる。






撫でているうちに、長女は寝た。

妻が、寝かしつけたようだった。


妻は、ずっと撫でていた。





この子を立派な大人にするのは、私だって誓ってほしい。


小さな声が漏れた。



妻の顔を見る。

まっすぐ私を見て、何度も頷いていた。




30分ほど経って、長女を抱っこして、お母さんに預ける。


妻は、病室を出る長女にまたね。と言った。


またね。という言葉が重たかった。