子どもたちを送って職場へ


妻は、カートで腹水を抜くので午前中の面会は控えた。

お父さんも気晴らしに温泉に行った。


職場で皆さんに挨拶


みんな背中を押してくれた。



職場を午前であがると、先生から電話



患者さんの体調が日に日に悪くなっている。

緩和ケアに移る日どりはまだ決まっていない。

そこで、外科病棟にいても子どもたちと会えるように取り計らう。

ただ、条件があって、患者さんが危篤状態になっても、長時間の心臓マッサージや人工呼吸器をつけるなどの延命措置を行わないことを承諾してほしい。



すぐに答えが出なかった。

延命措置をしないことと子どもたちに会うことはどういう関係があるのだろう。


後で回答しますと答えて、病室へ



妻に尋ねた。


子どもたちに会いたい。


そう答えた。



私は、看護師長さんと話して、条件をのんで子どもたちとの面会を許可してもらった。


延命措置は望まないと、妻は言っていた。

十分頑張ったから


そう言って、延命措置は嫌だと言った。


すごく辛かった。

その時、延命しないでくださいと言うのは、私の役目だった。


まだ、希望を持っていたいのに

ただただ辛くて、一人で泣いて、喚いた。



昼過ぎ、子どもたちを迎えに行き、風呂に入れてきれいにした後、病院へ連れて行った。


今日は、たまたま長女の学期末でたくさんの工作を持ち帰る日だった。


私は、袋いっぱいの工作と長男を抱えて、病棟に入り、呼ばれるのを待った。



看護師さんが呼んでくれて、病室とは異なる部屋で妻と会った。


長女は工作を広げて、一つ一つ妻に説明していた。

長男は介護ベッドと医療用麻薬の点滴セットに興味津々だった。


妻は、あまり声を出さないがニコニコして、子どもたちを見ていた。


何度も長女と長男をなでていた。



結局1時間ほど子どもたちと戯れた。


終わって、子どもたちを連れて帰る。


妻は、病室に戻る。



家に帰ると、どっと疲れが出て眠ってしまう。


起きると5時


片付け、洗濯、炊事をして妻の病室へ 


病室ではあまり話さなかった。


ラジカセを持ち込んで、妻の好きなCDをかけた。


私の知らないゲームのBGMだった。


私は、音楽を聞きながら、妻のお腹をマッサージした。


昨日の夜ユーチューブで見つけた腸もみだった。

妻の下腹部は、固くて少し冷えていた。


妻は、マッサージを始めるとねてしまった。


黙々とマッサージを続けた。

徐々に下腹部が温かくなり、下腹部が柔らかく、ゴロゴロ動くのがわかった。

これで少しでも良くなってくれれば…


1時間ほどして、電気を消して、妻を寝かしつけた。


ゆりかごのうたを歌って、お腹をポンポンした。

すこしでも、休んでほしかった。



お父さんから電話


子どもが泣きそうだ。

もう、リーチ



妻にお休みと伝えて、帰宅する。


家に帰ると、子どもたちは私の足に引っ付いてくれた。

この子達がいるから、頑張れる。