朝、妻がうつ伏せにうずくまっていた。


昨日は、あまり寝られなかったと言う。



苦しくて辛い。

もう嫌だ。


泣きながら、妻が訴える。



点滴を外す。


妻は、点滴をやめたいと言う。


点滴は、毎晩1リットル入れている。


最近は、食事や水分補給の量が増えているので、妻は、1.5リットルから2リットル水分を取っている。


点滴を始めてから、妻の腹水の量は著しく増えていた。



妻を抱きしめる。

お腹を触る。

へそを中心にして、ぽっこりと膨らんでいた。

子どもたちがまだお腹にいた頃、妻の膨らんだお腹は、可愛くて、幸せの象徴だった。

愛おしかった。


でも今は、何も感じない。

この膨らんだお腹に、幸せが入っていないと本能でわかる。


かける言葉が見つからなかった。


ツマが泣き止むまで、抱き締めて、妻のお腹をさすった。



妻が泣き止むと、子どもたちの声が聞こえた。


2人で子どもたちのもとに行く。



長女の髪を結び、食事を手伝う妻


動いて辛さを紛らわせていた。




朝の支度が終わると、妻にお灸を据えた。


苦痛を取り除いてあげたい。

その一心だった。



妻は、今日病院に連絡して、相談することにした。


本来は明日からカーと処置のために入院だった。

先生に、一番良い方針を示してもらいたい。