夜中目が覚める。


妻の事で不安になり、眠れなくなる。


一緒にいれば、何も怖くないって思ってたけど、痩せた妻の姿は、衝撃を受けた。



妻に寄り添い、妻の呼吸を聞く。

少し安心して、少し眠る。


午前3時、目が覚める。


妻の痩せた姿について調べる。


悪液質というらしい。

妻がガンに蝕まれている。

それを実感した。


焦りが出る。

5時までずっと妻の栄養を上げる方法を調べ続けた。


不安は消えなかった。

妻に寄り添い、妻の手を握る。


小さくなーれと何度も唱える。

寝ている妻が握り返してくれた。



朝になり、子どもたちを起こす。

妻も母も起きる。

妻の体調は良さそうだったが、お腹が妊婦さんのようになっていた。


朝食後、長男がぐずるのでテレビをつけるとラジオ体操がやっていた。

妻と私が一緒にラジオ体操をする。

妻は体操をやりきり、エアロバイクにまたがる。

偉いと思った。

でも、強がっているのではないかと心配になった。



母に妻と子どもたちを任せて仕事に行った。


仕事中も不安は消えない。


妻から子どもたちを無事に送ったと連絡が来る。


それでも不安が消えない。



妻が退院すれば、不安なんてなくなると思っていた。

一緒にいるだけで幸せだと思っていた。


でも実際は違って

妻の蝕まれている姿を見るのが辛かった。

焦りが止まらなかった。

たくさん考える。


妻の食事

摂取カロリー

腸閉塞

腹水


考えるうち、とある本を思い出す。

その本には、運命には抗えないと書いてあった。

それを受け入れて覚悟を決めることが難局を乗り越える方法だと書いてあった。



普通に考えれば、妻は、愛ちゃんは、長く生きられないのだろう。


先生からは、1年半、1年、半年とどんどん短く言われてきた。

妻は、先生の見立て通り弱っていく。


先生は、たくさんの患者さんを見てきたから、間違えることはない

そう看護師さんから言われたことがある。


余命の話がずっと胸に刺さって離れない。



でも、私には、受け入れることができない。

きっと、妻が死んでも、受け入れられない。

受け入れる勇気がない。

生きてて欲しい。

妻とずっと一緒にいたい。


…しんどい。

今日は、とにかく落ち着いていこう。

仕事をこなして、ゆっくりしよう。

自分の中で、この気持ちをゆっくり溶かしていこう。