朝起きると、妻と長女と長男は元気になっていた。


朝から妻の布団で飛んだりはねたりして、騒いでいた。

妻は夜それなりに寝れたといい、吐き気はあったが、夕食を早めたので、吐くことはなかったそうだ。


食事に気を使った成果だと思った。

前に進んだ気がして、嬉しかった。


私は、前の日の夜に読んだ、免疫細胞は笑うと活性化するという記事を信じて妻や子どもたちをたくさん笑わせた。


さらに今日はクリスマス


長女にサンタさんは来たか尋ねる。

来てなーいとおどける長女


ツリーの下を探してみようと伝えると、クリスマスツリーまで駆け寄る。


クリスマスツリーの下にあるプレゼントに気づく長女


あーと嬉しそうに叫ぶ。


ほしかったポケピースハウス


妻に開けてとねだる。

マサシがいて危ないから、後で一緒に遊ぼうね。

妻が応える。


幸せな光景だった。


昨日は高熱で風呂に入らなかったので、皆で風呂に入った。

妻は長女と、私は長男と


そしてお昼ご飯を食べるところで、長女と長男がぐずり始めた。

さらに妻はつかれたといい、寝てしまった。

痛みも出て、痛み止めを飲んだらしい。


子どもたちの額を触ると、体感39℃の熱を出していた。

昨日と同じパターンだ。


食事をほどほどにして2人を寝かせるが、長男はすぐ起きて泣き叫び、長女は頭が痛いと泣く。


今、二人に解熱剤を与えて、布団に入った。

妻は隣で静かに休んでいる。


これが私たち家族のクリスマスイブ

なんという聖夜だろう。

少なくとも、私の住む県で、ワースト一位なのは間違いない。


どうせ私を苦しめるのなら、私にガンと風邪を全て与えればいい。

耳元で泣き叫ぶ長男

頭が痛いとすすり泣く長女

ガンに苦しめられる妻

神様は上手に私の大切なモノを順に攻めてくる。

ココまで来たら、本当に神様はいるんだろうと思う。



でもなぜか、耐えられる。


それはこれまでがどうしょうもなく幸せだったから。


妻と結婚したこと

長女が生まれたこと

長男が生まれたこと


私の人生は、妻のガンがわかるまでとても幸せだった。

世界中の誰よりも幸せだったと、今でも言える。


でも幸せは続かない。

いい時があれば悪いときもある。

そう考えれば、私の幸せ分、今は不幸が来ているのだろう。


また、幸せは来てくれるのだろうか。

子供たちの風邪が治り、妻の末期がんが治り、前と同じくらい幸せになれるのだろうか。


子どもたちと寝ることを諦め、テレビを見る。

今の私に出来るのは、風邪の苦しみをごまかしてあげることだけ。


長男の熱は徐々に下がっている気がする。

今は私の腕の中で寝息を立てている。


長男の寝息が、今の私には心地よかった。