昨日がん宣告を受け、今日は仕事だった。

昨日は結局よく寝れず、4時頃には妻も起きた。
そして5時半までずっと話していた。
くっついて話していると、妻の体温が心地よかった。

心地よくてたまにウトウトし、そして目が覚める。

妻は再婚の話をしていた。
私と子どもたちに新しいママは必要だから、再婚してもいいと言っていた。

私はわかったよと言った。
そう言って安心させたかった。
再婚の話なんて、聞きたくない。
俺はお前と、お前だけを妻にしたい。ずっと添い遂げたい。

そして、朝
妻は子どもたちとご飯を食べると、こたつで横になる。
お腹が痛いらしい。
でも、仕事に行くといい、私達4人で車に乗った。
長女と長男をこども園で預けて、私は会社にむかった。妻は車で、職場にむかう。
妻と別れる時、駐車場でハグをした。
お互いに気を付けてねと声をかけた。
人目はあったが、関係なかった。
スキンシップできることが、嬉しかった。

歩いて職場に着くと、自然と頭は仕事モードになる。
係長が近寄って、大丈夫かと声をかけてきた。
そして、周りの雰囲気から、職場のほとんどが知っていると気付いた。
私は明るくウスと言う。
他に何も出てこなかった。

職場にあった私のほとんどの仕事は、既に他の人に割り振られていた。
私は、休暇制度について調べる。

すると職場の電話が鳴った。
係長が出る。
何度か俺を見て、はい、と返事をする。
電話を置く。

係長が俺を見て、お前ちゃんと休んでるのかと言った。

電話の先は妻だった。

係長は言う。
お前が昨日から何も食べてなくて何も飲んでなくて、奥さんが心配してた。
ペットボトル口に突っ込んで飲ませろって。

そういうと係長は、私にお茶をくれた。

こんな時に俺の心配なんていいのに。

その後、私は、同じ班の方や幹部に説明をした。

妻の病気のことや、妻ががん保険に入ってないこと
今の貯金から治療はできるが、その後はどうするか等を相談した。

皆よく話を聞いてくれた。
そして、私の希望にそう制度を探すと言ってくれた。
そして皆諦めるなと
前向くしかないと言ってくれた。

仕事の間にも、私のスマホには友人からの励ましのメッセージがたくさん届いた。
みんな希望を持って前向きに頑張ろうと言ってくれた。

お昼になると、係長がランチに連れて行ってくれた。
三華という中華屋で、私はタンメンを食べた。
色んな人と話すと、少し元気が出てきた。

帰りに家のお土産で甘太郎という鯛焼きを三個買い、早上がりした。

職場から出ると家まで妻と電話をしていた。

今日は、職場に行ったがお腹が痛くて早く帰ってきたこと
今も痛みがあることを話してくれた。

私はみんなから貰った元気で、妻を励ました。
お腹が多少痛くても何か食べようといい、妻に鯛焼きを買ったと伝えた。

妻は嬉しそうに笑い、鯛焼きを食べると言ってくれた。

家に帰ると、妻はこたつで寝ていた。
こたつに入っているのが一番暖かくて楽らしい。
私は妻の代わりに長女と長男の迎えに行く。

そして2人を連れて家に帰った。

子どもたちが帰ると、妻は、こたつに入ったまま明るくおかえりと言ってくれた。

そして3人で鯛焼きを食べた。
長女が一匹、私が一匹、妻は長男と半分こして食べた。
美味しいと言って皆で食べた。

その後長男と長女を連れて寝室へ行く。
そして2人と一緒に少し寝た。
妻はこたつに入ったままだった。


いろんなサイトを見ると、ガンは寒いと成長するという記事を見つけた。
また、免疫を上げるためにも体温を上げたほうがいいと書いてあった。

妻に岩盤浴なんてどう?と言ったが、服を脱ぐと寒くて辛いと言った。


妻のできることが昨日に比べてとても少なくなっていた。
これが今日だけの事だと思いたい。
でもまだ冬はこれから。
寒い冬を乗り越えられるか不安になった。
もしかしたら、抗がん剤治療まで持たないのかもしれないとも思った。

ガンよ小さくなれ小さくなれ
絶対治る絶対治る

そう祈る

ただ不安が募る



不安がなんだ
妻は、俺の妻なんだ
俺が幸せにすると決めたんだ

だから、幸せにする

まだ何でもできる。

大丈夫


今日子どもたちを送る時、妻と話した。

5年

それは1歳の長男がランドセルを背負う年

そこまで頑張ろう

そう誓った

何があっても俺は愛ちゃんを延命させるよ、いい?と尋ねると

妻は、うんと頷いた。

約束を守ろう。

5年頑張る。

長女と長男のランドセル姿を見せる。必ず。