会場の一角。
五人の少女が、互いのドレスを見つめていた。
五年前。
転生する前の世界で、
五人はある約束をしていた。
転生後もお互いを見つけられるように、ドレスのどこかに目印を入れておく。
その約束通り、それぞれのドレスに
は小さな目印が入っていた。
「……もしかして」
「あなたも?」
「うん」
五年ぶりの再会だった。
顔も変わっている。
名前も変わっている。
生まれた家も違う。
だからこそ、
目印がなければ気づけなかっただろう。
五人は改めて、今の自分の名前と
家柄を伝え合った。
「私はセリーナ・アーデル。アーデル伯爵家の次女よ」
「私はノエル・リーベルト。リーベルト伯爵家よ」
そして、赤い髪の少女が胸を張る。
「私はカレン・グランディス。グランディス侯爵家の長女よ」
残る二人も、それぞれ名乗った。
五人はようやく、
転生後の姿で再会できたことを実感する。
「なんだか不思議ね」
「五年も経ったんだもんね」
懐かしい話を少しした後。
自然と、転生前に話していたことへ
話題が移っていった。
「そういえば……」
「男の転生者のこと?」
五人には、もう一人。
男性の転生者がいる。
ただし、誰なのかは分からない。
「結局、まだ見つかってないわよね」
「私たち以外にも、転生者がいることは
確かなんだけど」
「男の子なら、この会場にいる可能性もあるんじゃない?」
五人は周囲を見回した。
同年代の子供たち。
その中には、当然王族もいる。
「……レオン様とか?」
誰かがそう口にした。
「確かに」
レオン。
ベルク王国の第二王子。
礼儀正しく、頭も良い。
大人たちからの評判も良く、
将来有望な王子として知られている。
「普通の五歳児にしては、
かなりしっかりしてない?」
「それに、噂もすごくいいわよね」
「転生者だと考えたら、結構納得できるかも」
五人の中で、少しずつレオンの
名前が有力になっていく。
その話を聞いていたカレンが、
得意げに胸を張った。
「もしレオン様が転生者だったら、
調べるのは簡単かもね」
「どうして?」
「だって私、レオン様の婚約者だから」
カレンは自慢げに言った。
「普段から一緒にいるんだから、ちょっと話してみれば分かるかもしれないでしょ?」
「確かに……」
「カレンなら一番近くで見られるわね」
「任せなさい」
カレンはさらに胸を張る。
「私がちゃんと調べてみるわ」
「……調べるって言っても、
本人にいきなり聞かないでよ?」
セリーナが釘を刺す。
「分かってるわよ」
そう言いながらも、
カレンはどこか楽しそうだった。
五人の中では、レオンが一番有力な
候補になっていた。
ただし。
まだ誰も、確信はしていない。
そして五人は知らない。
本当の男性転生者が、すぐ近くにいることを。
――アルヴィン・ベルク。
その本人が、少し離れた場所で別の少女と話していることを。