HUDマップの操作に
夢中だった雷真は
馬車の揺れが
ほんの少し心地よく
なっているのに気付いた。
窓の外に目を移すと
馬車が門をくぐり
石畳の上を走っているようだ。
雷真はそっと息を吐いた。
「...ふぅ。あと少しで
宿屋か」
HUDを操作するのに
集中していた雷真であったが
街の外にいると
魔獣や盗賊が
襲い掛かってくるかもしれない為
どこかで緊張していた。
街に入った事で
張りつめていた意識が
ようやく落ち着き始める。
ふと思う。
せっかく異世界に来たのに
HUDばかり見ていたら
元の世界でネット動画をだらだら
見ていた時と変わらない事に
気付いてしまった。
HUDのスキルを取得したのは
あくまで、この世界を
生きていくための補助だ。
この世界を蔑ろにしている事に
深く反省した。
それと
雷真にはHUD以外にも
この世界には無いであろう
固有スキルを複数取得している。
HUDのメニューアイコンをタップし
スキル一覧を表示させた。
≪ARインターフェース≫
視界投影、最適化補助
情報管理、自動フィルター
≪AIアシスト≫
名前は未定。
状況分析、ログ整理、簡易判断補助。
≪地球知識辞典≫
地球側の知識テータ参照。
≪ネットスーパー≫
対価を払えば
地球世界の物を購入可能。
≪NPC創造魔法≫
≪マジックボックス≫
亜空間に収納。
他にもいくつか自身の情報を
書き換え強化したところが
幾つもある。
どれもチートだ。
使い方を間違えれば
とんでもない事になる。
これらの”力”は
あくまで補助だ。
決して依存してはいけない。
雷真は両手で頬を叩いて
気を引き締めた。
そんな事をしていたら
雷真を乗せた馬車が
止まった。
ちょうど宿屋に着いたようだ。
「やっと着いた~
早くご飯食べたい、
ベットで寝たい」
思わず声がこぼれる。
2週間ぶりの宿屋の力に
先ほどの
決意は何処かへ
吹き飛んでしまった。