100%ではないにせよ、ほぼ全てのゲームが何かしらの「文字」を表示します。
メニューの文字、セリフ文の文字などにどんな字体を使うかは
ゲームの雰囲気を大きく左右する、地味ながら重要なデザイン要素です。

しかし、日本語の「字」はそれこそ何千種類とあり、
その一文字一文字をデザイナーが手作業で
書いていくのは非常に非効率。(というかほぼ無理)
そのため、既に世に出ている字体から選んで入力していくのが基本になります。
(ご存知の方も多いでしょうが、この字体のことを「フォント」と呼びます。
 具体的には、Word等で文字を打つ時に選べる
 「MS ゴシック体」とか「MS 明朝体」といったアレらのことです。)

さて、既存のフォントを使うといっても、
何を使ってもいいかというとそんなことはありません。

特にゲーム内に表示するということはいわゆる「商用利用」にあたるため、
多くのフォントは、相応の契約なしに使用することはできません。
たとえWindowsに最初から入っているフォントであろうと
(それこそ「MS ゴシック体」や「MS 明朝体」であろうと)
商品たる「ゲーム」に勝手に組み込むことはできないのです。

そこで、こうした「フォント」を独自にデザインし、
その使用権を販売することを業とするビジネスがあります。
※有名どころではフォントワークス社など

ゲームメーカーはこうしたフォントビジネスを行なっている会社と契約を結び、
その契約内でOKとされている範囲のフォントだけをゲーム内で使用します。
とはいえ、使えるフォントが少ないとデザインにも悪影響が出てしまうため、
大抵は一揃いの文字が自由に使える包括契約を結んでいます。
(それなりの値段ではありますが、それでも一文字一文字デザインするコストに比べれば断然安いものです。)

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ところで、世の中には「商用利用でもタダでいいよ」という
フリーフォントを公開している方もいらっしゃいます。

こうしたありがたいフォントだけを採用すれば、
フォントにコストをかけずにゲームを作ることも可能です。
(実際、そうしているゲームもあります)

しかし、こうしたフリーフォントを使用する場合は、
「それって本当に安全なの?」
というリスクも背負うことになります。

どういうことかというと、これは非常~に世知辛い考え方なのですが……

万が一、そのフリーフォントの作者が別人の作ったフォントをパクって
自分のフォントだと言っていたのだとしたらどうしましょう?
とか、そういった危険性もあるからです。

有料フォントだったら、そういうことはないと契約で保証されてますし、
万が一訴訟などが起きてもフォント会社側が責任をとってくれます。

無料フォントでも「全責任は俺が取る!」と
フォント作成者がサインしてくれるのならいいのですが、
さすがに有志の提供者に対してそこまでは要求しづらいものがあります。

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ちなみに、タイトルロゴのようなゲームの肝となる文字デザインは
既成品のフォントを使わずゲームメーカーが一から描き起こすこともあります。
(既成フォントを改造してオリジナルっぽく変えていくやり方もあります)

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