世のメディアではソーシャルゲーム絶好調の話題が
連日のように報道されていますが、実際には

「ソーシャルゲーの何が面白いかサッパリわからん」

と感じている人も結構いると思います。

そして、そう感じる人の割合は、
ソーシャルゲームが広がる前からゲームをしていた人
(=つまり、普段からゲームをする習慣のあった人)で
あればあるほど高くなる傾向があるように思えます。

なぜそうなるのかというと、
ゲームに慣れていた人は、ソーシャルゲームを
「今までのゲーム」と同じ評価基準でもって
面白いかどうか判断してしまうからだと思います。

実のところ、私自身はまだ、自らがスタッフとして
ソーシャルゲーム一本を完全に作りきった経験はありません。
ただ、勉強中の身として、学ぶほどに感じていることとしては、
ソーシャルゲームは名こそ末尾に「ゲーム」とついていますが、
いわゆる今までのビデオゲームとは全くの別物であり、
面白さのポイントも全然違うところにあると思うのです。

$ゲーム屋さんの徒然日記-SG図解1

▲このように従来のゲームの中の一ジャンルとして
とらえるのではなく……

$ゲーム屋さんの徒然日記-SG図解2

▲ほとんど違うものだと考えるべきだと思います。

2つは似て非なるものなので、
いわゆる「今までのゲーム」を作っていたクリエイターが
そのノウハウを引きずってソーシャルゲームを作ってしまうと、
かなり高い確率で失敗します。

実際、今ソーシャルゲーム界で成功している上位企業は、
いわゆる「昔からのゲーム会社」ではなく
「新しく業界に参入してきた会社」であるケースが
とても多いです。(コナミの様な例外もありますが)

そんな従来のゲームとソーシャルゲームの違いについて、
あくまで私なりの意見ということで述べますと……

従来のゲームは「ゲームそのものの面白さ」で勝負しています。
面白いゲームを作ることで人に評価してもらい、
その評判でより多くの人に買ってもらうという発想で作ります。
(もちろん、実際には面白いだけではダメで
 プロモーション等も非常に大事なのですが、
 少なくとも中身を作る上での思想としては
 ゲームそのものを面白く快適に作ることが
 第一の正義となります)
そして、ゲーム自体が面白く感じるように作ってあるので、
(好みの違いや出来不出来はあれ)ユーザーはゲームを
プレイすることそのものに面白さを感じることができます。

一方のソーシャルゲームは
「人の欲望を刺激するツール」としての完成度が鍵になります。
と、こういう言い方をするといかにも悪い印象を抱きがちですが、 
そもそも従来のゲームと違って基本プレイが無料なので、
無課金ユーザーだけが増えても何の儲けにもなりません。
それだけに、ユーザーが「課金アイテムが欲しい」と自然に
思ってくれる作りになっているかどうかがとても大切なのです。
こうした作りを考えるためには人間心理の研究が不可欠で、
ゲームはあくまでその枠に当てはめて作らなくてはなりません。
そして、ユーザーはゲームそのものを面白いと感じるよりは、
むしろ欲望を満たした瞬間に快感を抱き、
そこにプレイ価値を見出しているのだと思います。

このように、2つは違うものだということをよく理解しないまま
ゲームに慣れ親しんだユーザーがソーシャルゲームをプレイすると

・クリックだけで進んでいって何の歯ごたえもない
・二言目には「課金」の臭いがしてウザイ

といった否定的な感想を抱く可能性が高いと思います。

一方、今まであまりゲームをしてこなかったユーザーは
過去の経験と比較することがないので、特に抵抗感なく
すんなり入っていけるのではないか……
そんな風に考えています。