息子の特別児童扶養手当の支給が始まったので、次は心身障碍者扶養共済へ加入しました。

心身障碍者扶養共済は一見毎月の掛け金が高く思えるのですが、実は非常にお得な共済なので、ぜひとも加入をおすすめいたします!

 

心身障碍者扶養共済は、障害がある人の保護者のみが加入できる共済です。

厚生労働省が出しているリーフレットが大変分かりやすい内容です。

 

かなりの長文になるので、最初に重要な点をまとめておきます。

 

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・親が65歳未満で健康であれば加入可能!障碍者本人の健康や障害の程度は関係ない

・掛け金が月額9,300円~と高め

・親と子の寿命が平均寿命だった場合、受取総額は掛け金のおよそ1.9倍にも

・運営母体は国

・掛け金は全額所得控除できる

・生活保護を受けていたとしても受け取り可能

・審査が1~2か月とやや時間がかかる

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加入者(保護者)の要件は、

 

①申し込みをする都道府県に住所があること

加入時65歳未満であること(厳密には違いますがここではざっくりそうします)

③特定の疾病、障害がなく、生命保険契約の対象となる健康状態であること

④障害のある方一人に対し、加入できる保護者は一人であること

 

です。

 

障碍者本人の健康状態は全く問われません。

保護者がとりあえず健康である人なら、加入要件は厳しくありません。

わが家は夫が加入者になっています。

 

また、障害のある方の範囲は、

 

①知的障害

②身体障碍(1~3級)

③精神または身体に永続的な障害のある方で、その程度が①または②と同程度と認められる人

 

です。

息子は軽度知的障害ですので、①に該当します。障害が軽度であるか、重度であるか、などは問われません。

 

ではいったいどんな内容なのかというと、簡単に言うと「親が亡くなった後、残された障害者(子供)に毎月定額のお金をあげるよ!」という共済なのです。

 

気になる掛け金ですが、これは加入者の加入時の年齢によって変わります。

全年齢分書くと長くなるので一部抜粋にしますが、

 

35歳未満・・・月額9,300円

35~40歳未満・・・月額11,400円

40~45歳未満・・・月額14,300円

 

と、加入時の年齢が若いほど、月額は低くなります。男女差による金額の違いはありません。

ちなみにこれは1口分の掛け金で、2口申し込む場合は上記の金額×2になります。

 

そして加入者(親)がなくなったあと、いくらもらえるのかという点ですが、

1口加入・・・月額20,000

2口加入・・・月額40,000

が支給されます。

 

 

・・・え、毎月一万円前後の掛け金を払い続ける割には、もらえる金額少なくない?

 

と思った方もいるのではないでしょうか。

けしてそんなことはないんです!そこのところを詳しく説明していきますね。

 

心身障碍者扶養共済と一般の保険の大きな違いは掛け金の払込期間にあります。

これについて、要件①と要件②というのが決められており、この両方に該当した時点で、掛け金の払込は不要になります。

 

要件① 加入日(口数追加をした分はその追加日)から20年

要件② 加入日(口数追加をした分はその追加日)から、加入者が4月1日時点で満65歳である年度の加入応日の前日までの期間

 

要件②が分かりづらいので、具体的な例をあげてみます。

1988年10日10日生まれのAさんが、2019年11月1日に加入したとします。

 

まず、要件①について。

加入日から20年後は2039年11月1日。

 

要件②について。

Aさんが65歳になるのは、2053年10月10日。4月1日時点で満65歳である年度は、翌年の2054年。要件②の、「加入者が4月1日時点で満65歳である年度の加入応日の前日までの期間」とは、2054年11月1日の前日まで、ということになります。

 

要件①②両方に該当にすれば掛け金の払込は不要になるので、Aさんは2054年11月分からは払込が不要になります。Aさんは要件①→②の順番で該当しましたが、加入時の年齢によっては②→①での該当になることもあります。

 

Bさん(1968年10日10日生まれ)がAさんと同じ日に加入したとすると、

要件①はAさんと同じく2039年11月1日。

要件②は2034年11月1日の前日まで。

この場合は要件①の2039年11月分から、Bさんは払込は不要になるのです。

 

Aさんの払込期間は約35年、Bさんの払込期間は20年で短いじゃん!

となるのですが、二人は加入時の年齢が違うので、掛け金が違います。Bさんは期間は短いのですが、毎月の掛け金はAさんよりも高い金額を払っているので、トータルはほぼ一緒なのです。

 

要件①②以外にも、加入者が亡くなる、または重度障害になったという場合にも、掛け金の払込は不要になります。この辺りは一般の保険会社も同じところが多いですね。

 

で、結局得なの?という疑問が湧きますよね。

わが家も夫に加入してもらうにあたり、色々と計算をして検討しました。

 

夫は上記のAさんと近い年代なので、Aさんのケースをそのまま当てはめてみます。

まず掛け金の総額。

Aさんの毎月の掛け金は9,300円。これを35年払い続けたとすると、

9,300円×12か月分=年額111,600円。

年額111,600円×35年=総額3,906,000

 

結構大金・・・。

さて肝心の給付ですが、これは加入者、つまり夫が亡くなった時から始まります。

男性の平均寿命が81歳。夫が平均寿命通りに亡くなったとして、その時点で息子は50歳ぐらい。給付は息子が亡くなるまで続きます。

50歳の息子が平均寿命まで生きると仮定すると、もらえる期間は31年。1口加入なので月額20,000円の給付。

月額20,000×12か月=年額240,000円

年額240,000×31年=総額7,440,000

 

掛け金総額3,906,000円、給付金総額7,440,000円、その差3,534,000円!!!

掛け金のおよそ1.9倍もの支給が受けられます。

 

夫がもっと長生きしたり、あるいは息子の寿命が平均を下回ったりした場合は損になることもありえますが、わが家はとりあえずこの計算結果を見て、大損にはならないだろうという予測を立てて加入しました。

 

心身障碍者扶養共済は国が運営しているので、一般の保険会社よりも潰れる心配が少ないし、非営利の目的なので無駄な経費もかかっていないかな、というのも加入の決め手の一つ。

私は以前大手の保険会社で働いていたのですが、保険会社って経費が凄いんですよね。セールスレディやお客さんに配るノベルティのボールペンやらカレンダー、上層部の接待&飲み会&ゴルフとか・・・。別に不正とかではないんですが、そういうことのためのお金も掛け金に入っているから、保険内容に対して掛け金が高い。

心身障碍者扶養共済の掛け金は安くありませんが、内容は一般の保険会社よりもずっと優れている、非常にコスパの高い共済だと私は思っています。

 

支給が毎月定額で、というのも魅力の一つだと思います。

支給が始まるころ、おそらく私はお婆さん、いやすでに亡くなっているかも・・・知的障害の息子の金銭管理に不安は残ります。本人ではなく年金管理者や後見人に金銭管理をお願いしたとしても、一度に大金が動くより、毎月定額の方がなんとなく安心感があります。

 

他にも共済の掛け金は全額所得控除になるという点、将来生活保護を受給していたとしてもそれとは別に受け取れるという点といったメリットもあります。

 

手続きは役所の福祉課でできます。

住民票障害があることの証明(障害者手帳や障害年金の受給証明書など)を持って、加入者本人を連れいていけば、その場で告知書を書いて手続きを完了することもできます。(通院や手術や入院を数年以内にしている人は、その記録を前もって家で調べてから行くのがおすすめ。もちろん一旦家に持ち帰ることも可能。)

審査に意外と時間がかかるのでご注意を。我が家は申し込みから2か月弱ぐらいかかりました。

 

とっても長くなってしまいましたが、本当におすすめの制度です。

月額9,300円は中々の負担ですが、検討してみる価値はあると思います。