大きな地震のあと。
山は裂け、岩は崩れ、これまで隠されていた古い地層が静かに姿を現していた。
あいたまけいは、その岩盤を長いあいだ見つめていた。
やがて、誰に聞かせるでもなく、ぽつりと呟く。
> 「なぜ私は、人に似ているのか。」
しばらく沈黙が続く。
風だけが吹き、崩れた石が小さく転がる。
再び口を開く。
> 「だが、私ほど大きな人はいない。」
自分の手を見る。
足を見る。
山を見る。
そして静かに首を横へ振る。
> 「人とは違う。」
少し考え、
> 「だが、人に似ているものはいくらか知っている。」
それ以上は言わない。
その名を思い浮かべたのか、それとも思い出せなかったのか。
長い沈黙だけが流れる。
やがて、地震で露わになった岩肌へ目を向け、小さく呟いた。
> 「……忘れたのか。」
さらに間を置いて。
> 「……知らないのか。」
そして、独り言のように、誰へ向けるでもなく最後にこう言った。
> 「私の覚えている最初の記憶は――。」