読谷Memorandum record 【参】 | 愛輔blog

読谷Memorandum record 【参】

愛輔blog-(仮)ALBATRUS in YOMITAN11011月18日。
潮の満ち干の情報などを考慮し、諸々の調整の結果、メインとなるアー写撮影はこの日の早朝に決定。
AM5:45起床。
まだ休んでいるメンバーを起こさないようにそーっとベッドを降りて外の様子を窺いに玄関を出る。
天気は雨、マジかー。
マネのカズくんと渋い顔を突き合わせながら唸る。
翌日には沖縄を後にする元さん。
彼が居る間が撮影のタイムリミット。
撮影可否の判断が如何ともし難い。愛輔blog-(仮)ALBATRUS in YOMITAN080
彼らに準備を整えさせ待機を願った挙句の撮影中止も大いに有り得る。
その上で、連日目一杯のスケジュールをこなすメンバーを叩き起こす事が躊躇われる。
午後からは大詰めのレコーディングを控え、睡眠は僅かでも長いほうがいいに決まっている。
明朝に最後の望みを賭ける手も残ってはいたが、天気予報を見る限り、明日のほうが更に悪い。
ぐうう。
洋平を交えての協議の結果、僅かなチャンスを信じようと頷き、心を鬼にしての大号令。
愛輔blog-(仮)ALBATRUS in YOMITAN079寝ぼけ眼を擦りながら仕度を整えるメンバーを横目に幾度となく空と睨めっこしながら、もう完全には雨は上がらないと悟る。
グズグズしていると潮も満ち始めてしまう、俄かに小降りになった間隙を縫って撮影決行。
それでもメンバーの士気は高く、アイデアを出し合いながらシューティング、レンズの向こうの五人はセンスの塊だった。
ポイントを変えながらテンポ良くシャッターを切り、僅かな時間の中でも釣果は大漁、いい写真が撮れたと自負する。
正式な公開が愉しみだ。
この旅における一つの大きな役割を無事に消化し、凄まじい安堵感に包まれてお昼まで仮眠。嗚呼、良かったー。
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愛輔blog-(仮)ALBATRUS in YOMITAN081心地よい達成感と仮眠のお陰で頭スッキリ(少なくとも僕は)。
道すがら皆で沖縄そばを喰らい、腹も満たしてスタジオへ。
さあレコーディングもいよいよ佳境。
翌日はあくまでも予備日、予定ではこの日が最終日である。

犬式を止めた洋平が中積み時代と称して独りギターを抱え新たな旅に出たのは2009年だったか。
幾つものステージで多くの同志達とクリエイティブなセッションを積み重ね、Peace-Kという新たな相棒を得た。
そこへ以前から共鳴を続けていた信州の雄、白石才三が合流した。
愛輔blog-(仮)ALBATRUS in YOMITAN084その後も、洋平の唄+アコースティックギターでのソロステージは続いていくが、それと並行するように徐々にバンドとしての眼目を象っていく。
三人体制でフリーセッションのような濃いライブを繰り返しながら更に惹き合わされたのは"らぞく"のフロントマン越野竜太だった。
随分前に、僕が敬愛して止まないギタリストの才三くんが、渋谷PLUGのステージでプレイする竜太くんを見つめながら
『俺が一番尊敬するギタリストだ』
と語ったことを思い出す。
そして、犬式時代から親交深い"SOIL&'PIMP'SESSIONS"のSA愛輔blog-(仮)ALBATRUS in YOMITAN083X元晴が必然のように寄り添った。
ALBATRUSなんてキーワードが出だしたのはこの頃か。
よくもまあこれだけの面子が揃ったものだと正直感嘆した。
事実、2010年9月の横浜THUMBS UPにて敢行されたワンマンライブは圧巻だった。
このバンドの進む先にある未来に大きな期待を抱く素晴らしいパフォーマンスだった。
それでも一筋縄ではいかないのが名ドラマの宿命か。
諸々を経ての白石才三の離脱は大きな一つの分岐路だったに違いないだろう。
しかしその空いたピースを埋めるべく迎え入れたベーシスト小愛輔blog-(仮)ALBATRUS in YOMITAN082林真樹との邂逅もまた喜びの収穫だったろう。
そして新たな風を得て新体制を整えつつあった彼らを次に見舞ったのはギタリスト越野竜太の右手首骨折だった。
アルバトラスは方翼を負傷しながらも、長久保寛之のアシストを得てその鋭気を挫くことなく快癒の時を待つ。
そんな雪解けの早春に東北を襲ったのは大震災、津波、そして原発事故だった。
各々の判断により生活の拠点を移すメンバーも出る中で、それによって開いた物理的な距離と、それを容易には埋めさせない放射能が新たな壁となってバンドの前に立ち塞がることになった。
愛輔blog-(仮)ALBATRUS in YOMITAN085暗雲だとか云うのであれば、それはもう、これでもかと云う程に垂れ籠めていた筈だ。
それでも彼らは意識で繋がっていたのだと思う。
創造への揺ぎ無い欲求を共有しながら、その時々、可能な場所、可能な体制でセッションをしながら、8月の沖縄レコーディングに漕ぎつけた。
そして今回で全レコーディングスケジュールを消化する。

ガラスの向こうで、最終テイクが紡がれてゆく。
5人それぞれがその胸に宿した情熱が、想いが、アートが今、目の前で確かに結実していく。

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愛輔blog-(仮)ALBATRUS in YOMITAN097そして誰が始めたか、気がつけば解き放たれたメンバーたちはスタジオで歓喜のダンス。
竜太君の鍵盤。
洋平のギター。
Pちゃんのタイコ。
元さんとPAの大輔くんと僕はハンドクラップ。
真樹とマネのカズくんの超絶ダンス。
空間に響き渡る単語は"ダンス"の3文字のみw
全ての喜びが爆発したような一時だった。

あー、くそ笑ったー。
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このレコーディング最後の一枚。スタジオを後にする直前、最終テイクを聴く5人




宿に戻り美味しい食事を戴いたのち、満を辞しての試聴タイム。
レコーディングされた全楽曲を順に聴いていく。
一曲聴き終わる度に部屋に響く"イェーイ!!!"
全て聞き終わった後に部屋に充満した幸福感を忘れることは出来ない。
そしてリピート。
間違いなく最高の1枚が完成する。
洋平のアナウンスによればリリースは3月。
期待して頂いてOKです。




愛輔blog-(仮)ALBATRUS in YOMITAN103翌19日も天候悪し。
レコーディングは前日に終了している為、この日のスケジュールはフェス会場での前日リハーサル。
やっと時間の余裕を得た5人はこの旅初めてであろうロングミーティングに入る。
前日まではひたすらに楽器を突き合わせていた彼らがテーブルを囲みながら顔を突き合わせて対話でコミュニケーションを図る。
一定の目処を見たアルバムのタイトルやジャケット案、リリースに合わせたプロモーション等、やいのやいのと忌憚なく意見を交わし合い、和やかに話を進めながらも、バンドとしての今愛輔blog-(仮)ALBATRUS in YOMITAN112後の方向性、ライブの展開などに話題が及べば真剣な眼差しが交錯する。
意識、無意識に問わず各々が胸に秘めた幾つもの感情も在っただろう。
互いを尊重しあいながら多くの主張が飛び交っていた。
普段距離が離れていることを考えれば、ある意味ではこのコミュニケーションこそ彼らが必要としていたものかもしれない。
また一歩、その歩みを進める為にも、有意義な時間だったのではと察する。

そうこうしている内にフェス運営サイドからの一報。
愛輔blog-(仮)ALBATRUS in YOMITAN104悪天候のため会場リハーサルの全面中止が決定。
明日の開催にも不安が募る。
ビーチでは強風が吹き荒れているらしく、既に設営が完了しているステージを取り壊し、新たに場所と向きを変えてステージを組み直すという情報も飛び込んできた。
安全な開催に向けて奮闘する運営陣、本当にご苦労様です。
フェス当日を明日に控え、出演のLEVEL7やDACHAMBOの面々も続々と宿入り。
ずっと待ち望んでいたあの男との再会も実現した。
そして(仮)ALBATRUSとROOTS ALIVEは読谷の十八番横丁のステージでリハーサルに臨むことに決定。
愛輔blog-(仮)ALBATRUS in YOMITAN106竜太くんは朝から外出中、ROOTS ALIVEのリハに向かうPちゃんと真樹が先行して宿を出る。
そして那覇空港へ向かう元さんを送り出す。
旅の始まりからずっと、たくさんお世話になりました。
ありがとう元さん!
さて僕らも十八番横丁へ出発。
宵闇からの篠突く雨を避けながら入念にリハーサル。
久々のグレートトライアングルにもフライングで遭遇。
それぞれのパフォーマンスに明日への期待を抱き、天候の回復を祈る。
さてここで時間一杯、岬の突端で如何に転がる残波JAM。
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読谷Memorandum record 了

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