肉が喰いたくてジビエを食べに行ったはなし。


ツキノワグマのソーセージ。
8月に北海道のキャンプ場に出没して罠で仕留められた。
舌の上でのっそりとしたただずまいを残す。飛騨の山椒がきいている。器も飛騨なんだって。


10月に死んだエゾシカ。
血の滲んだ肉片を噛むと脳がひゅっとトリップする。
細胞が桃源郷でゆやんゆよんして欣喜雀躍だ。お祭りだ。肉だ。ハレの日だ。飛べ、踊れ、歌え。


鹿を食べているけど
鹿に取り込まれている。
食物連鎖の上に立った気がしない。
喰われているのはこちらのほうだ。ありがとう鹿。


パスタをどうするか、
テーマは?と聞かれる。
肉でコースのクライマックスにきたので
あとはトーンダウンして静かに着地したいと伝える。




手打ちのなんていうか知らないパスタに
牡蠣とブロッコリー。
牡蠣できたかー!
海を吸収している豊かな滋味は、確かに
ハレのお祭りを沈めてくれる。

鹿はアクティブに動くけど
牡蠣はじっとしているもんな。

熊に喰われているのを想像しながら帰る。
腹一杯で冬眠するように眠る。