真夏の夜の夢 | あいのゆめは今日から普通の子育て日記

あいのゆめは今日から普通の子育て日記

2024/4/11サレ妻発覚し慰謝料請求〜締結しました!ピアノとタロット、たまにお狐様とか言うアスペドSおばちゃん。相手次第でドM(クソどうでもいい情報)
2020~KAT-TUN
2014〜恋人は公安刑事/東雲歩。
2016~2020;V6

その日私は、大きな仕事をひとつ終えた
充実感と達成感とに身を包み
家路を急いでいた。



私「さむっ……」
季節はすっかり晩秋。
色づく紅葉に目を取られ、

私「こっち通って行こうかな……」
自宅マンションまでの道のりの
途中にある大きな公園。
そこを突っ切れば
自宅まですぐだ。

今日は冷えるから
早く家に帰って
一人鍋でもしようかな~
なんて考えながら
紅葉に彩られた公園の中を歩いていく。
夕暮れ時、
少しずつ、木々の間から見えるマンションやお家に、灯りが点る頃だ。

そんな公園の中を、
私は両の手に息を吹き掛けながら
足早に通りすぎる……はずだった。


私「あ……れ??」

目の前に現れたのは……
どこか懐かしい感じのするお店……いや、
居酒屋??

私「こんな店、あった??」
今年の始めに越して来たばかりとはいえ、
幾度か通っている道なのに
まだ知らないお店があったとは……

私は不思議に思いながらも
吸い込まれるように店のドアを……
開けた。。










カランカラン……

○○「いらっしゃい」

私「……え??」


私は目を凝らした……
あれ……ここって……
ぐるりと店内を見回してみる。










○○「どうしたの?久しぶりだね??仔猫ちゃん」

私「仔猫ちゃん……仔猫ちゃん……仔猫…」

○○「あれ?違った??」


私「……誰が仔猫よ!!」
(こんなキャラだったか??
自分でも戸惑うのになぜか言葉が口をつく)


○○「相変わらず気が強いね~で、元気?彼は??」




私「はぁ……彼……誰だろう?彼??」


○○「あららら?忘れちゃったの?彼のこと」


私「……彼……?」
私は頭を抱える。
バーテンさんはにっこりと微笑みながら
私に黄金色の飲み物を差し出す。
無言でジョッキを掴むと
一気に飲み干す。。

○○「いい飲みっぷりだねぇ……」
バーテンさんの声が遠くで聴こえる。
途端に頭がクラクラして……
視界が歪む……
誰かの声で、

「もっと素直になれば良いのに」

と、
言われた気がした。



キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ

人陰もまばらな喫茶店。
私は彼を待っている。
窓外には
色づき始めたばかりの紅葉。
季節外れの台風が、
東京を襲った日、
私は、
久しぶりに
彼、
と待ち合わせていた。


途切れた連絡。
久しぶりの待ち合わせ。
嫌な予感で胸が一杯になる。

早く会いたいのに
会いたくない。

なんて言われるか
分かっているから。

私は唇を
噛み締めた。

私の一目惚れで
始まった恋は
夏の夜空に咲く
大輪の花のように
あっけなく
終わりを迎えようとしていた。


どこですれ違ってしまったのか
考えても考えても……

忙しいからかな?
としか思い付かない。


そして……



暗い雰囲気を纏った彼が入ってくる。
スレンダーな出で立ちは、
一目惚れしたあの日と
何一つ変わらないのに。


変わったのは、、








気持ち。。
私の……?
彼の……?
私たちの……?




彼はすぐに私をみとめると、
静かに頷いて
目の前に腰かける。。



私「あの……」
無理に笑おうとするのに
上手く笑えない。

彼は俯いたまま、

彼「ごめんね、なかなか連絡できなくて……」
私はなぜかほっとして、笑う。

私「ううん、全然……大丈夫だった?台風?」

彼「……あぁそれは、大丈夫」

私「あ、何か頼む?」
私がメニューに手を伸ばそうとすると

彼「ううん、いい、すぐ出るからさ……」

私は膝の上で手を握る。

私「あの、話って」
大事な話があるからと、
呼び出されたのだった。


彼「……うん」
彼は、考え込むように俯いたままだ。

目も、合わせてくれないんだね……
私が握りしめた手を見つめていると
彼、の声が頭の上から降ってくる。


彼「色々考えたんだけどさ……やっぱり、俺たち……終わりにしよう」




……
……………


覚悟していたことだった。
むしろはっきりと言われて
ほっとしたかもしれない。
もう、このモヤモヤから解放されるのだ。

私は静かに頷くと、


私「分かりました……」

顔を上げて彼の、
キラキラ光る瞳を見つめて言う。
こんな時なのに
いまだに、
吸い込まれそうなほどに、
綺麗な瞳だと
思ってしまう。

あぁ、好きなんだ。
私は、まだ、
好きなんだ。

あの頃
私の胸をときめかせていた
その瞳に
私が映ることは
もう二度と無い。。
その美しい瞳に。


ぼぉっとしていると
彼は静かに席を立ち、
伝票をつかんで、
足早に歩いていく。

私はそんな背中ですら
美しい、
と思ってしまう。

彼がドアの向こうに消えて
暫くたち、
それからたくさんの
涙が零れた。。


寂しかった。
もっとたくさん、
会いたかった。 

言えなかった。
寂しいって
言えなかった。




ねぇ、
どんな出逢いだったら
私たち上手くいったの??

ねぇ、
私のこと
ほんとに好きだった……?



忘れられる。
仕事さえしてれば 
恋なんて。





そう思っていたし、
そうだったから……
でも……
ほんとに??

良いの??
それで
良いの??


キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ
静かな店内に
ピアノの音だけが流れている。

ポロンポロン……

○○「……いつ聴いてもいいねぇ……」

やがて彼は、ピアノを弾くのを止める。

○○「あれ?もう終わりかい??」
ピアノの蓋を静かに閉めると

彼「だって、寝ちゃってる……」
クスクス、と彼は笑って、
肩にかけたコートを
手に持ち、

○○「あれ?それは……?」
カウンターに突っ伏して眠っている
仔猫ちゃんに近付くと、
コートをその小さな肩にかけてやる。

彼「風邪、引いちゃうといけないから」
○○「優しいねぇ~アニキは……」


俺、はふと気がつく、
彼女の頬が濡れてることに。
俺、は指で頬の涙のアトを拭うと、

「そうだ……」

ピアノのかげへ回り、
「確かここに」

○○「それってもしかして……」

ガサゴソとそれ、を取り出すと、
後ろのゼンマイを回す。。


俺の手のひらの上で
小さなそれは、
ゆっくりと回り出す。


「子どもの頃、泣いてたらこれで泣き止んだんだ。あ、俺がだよ」


○○「…………」

俺は静かに彼女に近付く。 
彼女は泣きながら眠ってしまったらしい。
いったいどんな夢を見ているのか。。


俺は眠っている彼女の目の前に、 
それをコトンと置く。
彼女の目の前で、
小さな夢の世界は、
ゆっくりと回り続ける。









愛してるよ
愛してるよ
優しく届いた声
永遠を感じた
日々は過ぎ去っていく
痛みだけを置いて

腕の中
君を抱き
君と一緒の
夢潜り
おんなじ世界
望み眺めてた
時間に嘘なんてない

なんで変わってゆくのだろう
形なき想い
信じる強さ失った
大好きな笑顔と共に

君がいなきゃなんて
言葉にはできなかったけれど
涙のアトが消える頃に
僕は今よりもきっと
君を愛してる……




キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ
The time of your Life……

ありがとうを君に。
またいつかどこかで……❤