新大奥☆永光さんお誕生日2015☆二次創作 | あいのゆめは今日から普通の子育て日記

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2024/4/11サレ妻発覚し慰謝料請求〜締結しました!ピアノとタロット、たまにお狐様とか言うアスペドSおばちゃん。相手次第でドM(クソどうでもいい情報)
2020~KAT-TUN
2014〜恋人は公安刑事/東雲歩。
2016~2020;V6

○葵の間

温かな日差しが降り注ぐ葵の間で、一人、鏡の前で身支度を整える咲姫。

自らの黒く長い髪を結いながら、


咲姫「自分で髪を結うのも慣れてきたな…」

ふと、何も知らずに江戸城へ連れて来られた日の事を思い出していた。


咲姫「あれから色んな事があって…」

どうしても思い出すのは、愛しいあの人の顔。

完成した髪型を眺めながら、


咲姫「可愛いって言ってくれるかな…永光さん」

と、襖が勢い良く開けられ、


庄吾「咲姫!!」

咲姫「庄吾!?どうしたの突然?」

庄吾は咲姫の正面に座り、

庄吾「もうすぐ、永光さんの誕生日だって知ってる!?」

大好きな人の名前を出され、咲姫は頬が熱くなるのを自覚しながら

咲姫「ううん、、お誕生日なの?」

庄吾「うん!11月の13日なんだ。咲姫、知らなかったのか?」

怪訝そうに顔を覗き込む庄吾、

咲姫「…うん」

(そういえば、永光さんの事、知らない事も多いんだよね、昔の事はそんなに詳しく教えて貰って無いし…)

落ち込む咲姫を気遣ってか、庄吾は明るい声で

庄吾「昨日話してたんだけどさ、永光さんにはいつもお世話になってるから、大奥の皆でお祝いしようかって、その、永光さんには秘密で…」


永光「…何が秘密なんですか?」

庄吾「!?永光さん!いつからそちらに!?」

永光「…ご安心ください、秘密、としか聞いてませんよ」

永光「所で庄吾殿、上様、咲姫と幼馴染とはいえ、容易に葵の間に入られるのは感心しませんね、誰が見ているとも知れませんし。上様へのお話なら、大奥総取締役である私を介して頂かないと」

庄吾俯いて、

庄吾「ごめんなさい、どうしても咲姫と話したい事が…今度からそうします…」

永光は穏やかに微笑みつつも、

永光「お願いしますね…?」

庄吾の後姿を見送る瞳は笑っていなかった


咲姫「永光さん、あの、庄吾は…」

恐る恐る声をかける咲姫に、永光の手が伸び、優しく髪を撫でる

永光「可愛らしい髪型ですね…貴方にとても良く似合う…これも、庄吾殿に?」

咲姫「ち、違いますっこれは、自分で」

永光「そう、ですか…私の言いつけを守ってくれているのですね」

恥ずかしそうに俯く咲姫

永光「…庄吾殿とどんな秘密のお話しをしていたのか、聞きたい所ですが…」

スッと永光の指先が、咲姫の顎を掬う、

永光「そんな可愛い瞳で見つめないでください。今夜は、貴方を寝かせそうに無い…」




永光と熱い一夜を過ごした翌朝、
咲姫は、春日局の部屋で、
あるお願い事をしていた。

春日局「何、お万の君の誕生日を皆で祝いたい……?」
咲姫「はい、永光さんのお誕生日に、皆を城下での秋祭りにお連れしようかと……」
この時期、江戸城下では秋の豊作を祝う秋祭りが行われていた。
咲姫「皆さん、滅多に城の外には出られませんし、いつもお世話になってる永光さんのお誕生日を祝いたいと、大奥の皆が……」
春日局「……まぁ、たまには良かろう……上様、として江戸庶民の暮らしぶりを肌で感じておくのは、幕府にとっても悪いことでは無い。火影を護衛につかせるとしよう」
春日局「しかし、くれぐれも、お万の君とそなたが、恋仲であることを他の者に悟られぬようにな」
意地悪く微笑む春日局に、
咲姫は嬉しそうに勢い良く頷くと、
部屋を出ていく。
春日局「全く、あの娘は分かっているのだろうか、お万の君の名前を出しただけで、あんなに嬉しそうにして…」


○御鈴廊下
総触れの準備を終えた咲姫は、
永光に付き添われ御鈴廊下を歩いていた。

咲姫(何回やっても総触れって緊張する……)
左右に大奥の男達が平伏す中を、
ゆっくりと歩いて行く。
思わずブルルと震えてしまう咲姫。
永光「上様……失礼致しますね」
永光がさっと羽織物を、
咲姫を抱き締めるように被せてくれる。
咲姫「……っ」
永光「朝晩冷え込みますから、お身体が冷めませんよう」
咲姫「あ、ありがとう」
動揺を隠すように唇を噛み締めると、
真っ直ぐに前を向いて歩き出す。
と、永光の温かな手が咲姫の指に絡む。
羽織物に隠れて、外からは見えないが、
中でぎゅっと咲姫の手を包み込む、
永光の大きな手……
咲姫「……」
横目でチラリと永光を見ると、
咲姫にだけ分かるように、
意地悪く微笑む永光の顔があった。
咲姫(永光さん……ズルい……)
咲姫は頬が熱くなるのを必死で堪えるのだった。


○永光の茶室
夜も更け、永光の茶室で、
お茶を嗜む、咲姫と永光
咲姫「総触れの時は驚きました……」
永光「どうしたのです?」
咲姫「永光さんが手を握って来るから、余計緊張して…」
永光「咲姫の身体が冷えないように、温めて差し上げたのですよ?」
咲姫「……っ」
永光「お嫌でしたか?それとも、もっと別の方法で温めて差し上げましょうか?」
咲姫「べ、別の方法って」
永光「ふふ、何を想像しているのです?そういえば、昨晩は貴方に夢中になって、大事な事を聞きそびれていました」
咲姫「な、なんですか……?」
永光「庄吾殿と秘密の話です」
咲姫「そ、それは……」
永光「私には言えないような事ですか?」
咲姫「そんな事は……」
永光「言いたく無いのであれば、無理にとは言いませんが……聞き出す方法なら幾らでもあるのですよ?」
妖艶に微笑む永光さんから
目がそらせなくなる咲姫。

咲姫「な、何を……」
永光「それは貴方が一番良くご存知なのでは?」

咲姫「……っ 永光さんは、お誕生日は、いつもどんな風に過ごされるのですか?」
永光「……?誕生日、ですか……」
途端に暗い表情になる永光
咲姫(……聞いちゃダメだったかな……)
永光「それで皆さんの様子がおかしかったのですね……」
永光「ふふ、他愛ない事です……お誕生日なんて……楽しかった記憶など、ありませんから」
キッパリと言い切る永光を、
悲しげに見つめる咲姫
永光「貴方にも以前お話したと思いますが、私は物心着いた時から、水尾様の腹心として働いて来ました」
永光「父や母にも、もう長いこと会っていませんし、他人に、自分の本心を明かすことなどしてきませんでしたから」
永光は俯き、暗い目をしている。
咲姫「永光さん……ごめんなさい、変なこと聞いちゃって……」
永光「ふふ、もうこの話はやめましょう、昔の事です……」
と、茶室の襖が開けられ、
鷹司「お万の君?」
驚く咲姫、
永光は穏やかな微笑みを浮かべ
永光「鷹司殿、どうなさいました?」
鷹司「なんだ、家光もいたのか……南蛮の珍しい甘味が手に入ったから、お万の君とお茶でも、と思って……」
永光「それでは上様もいらっしゃる事ですし、頂きましょうか」
永光は美しい所作で、お茶を点てる。
食い入るように見つめる咲姫。
鷹司と談笑しながら甘味を頂く永光の姿に

咲姫(永光さん……大奥では慕われてるのにな……表向きの顔だなんてそんな事……永光さんは温かい人……だって私は最初からこの人に……惹かれてた……)


○江戸城下
江戸城下の秋祭りへとやって来た、
咲姫と永光始め、大奥の面々
夏津「ふん、たまには江戸城の外に出るのも……いいか……」
九条「俺はたまに息抜きしてるけどねー夏津、あっち出店とかある」
夏津「なんで俺がお前と……」
九条に連れ去られる夏津の後ろ姿を見つめ、

咲姫「ふふ、皆、なんだかんだ言って楽しそうですね」
永光「そうですね、大奥にいると、殆ど外に出ることは叶いませんから」
永光「今日は咲姫の提案で外に出られて、皆さん良い気分転換になる事でしょう」
咲姫「永光さん……お誕生日、おめでとうございます」
永光「急に改まって、どうしたんです?」
咲姫「これから、永光さんのお誕生日は、私が全部、お祝いしますから……」
立ち止まる永光、
咲姫と向かい合い、
永光「この間の話を、気にしているのですね?私も、貴方に余計な心配をかけてしまったのではと、気に病んでいたのですよ」
咲姫「永光さんの過去には戻れないけど、過去の永光さんも、今の永光さんも、明日からの永光さんも、、全部、私が……」
永光、咲姫の口を手で塞ぎ、
永光「咲姫……その先は、私に言わせてくれませんか……?」
永光を見上げる咲姫の熱い瞳
永光「こんなにたくさんの方に祝って貰う誕生日は初めてで、戸惑っていましたが……なるほど、温かな気持ちになるものですね。ですが私は、咲姫さえいれば、他に何も要らないのですよ」
咲姫をきつく抱き締める永光
咲姫「……っ永光さん、皆に見られたら……」
最後まで言い終わらぬ内に、
永光の口付けが降りてくる。
一瞬で離れる永光の唇。
永光「ふふ、皆に見られたら、その時は、咲姫は私のものだと示す、良い機会なのでは?」
意地悪く微笑む永光。
咲姫「そんなっ」
永光の体温が残る咲姫の唇を、
永光の指先がそっとなぞる。
永光「大丈夫ですよ、この人混みで誰も見ていません」
咲姫は不安気に辺りを見渡す。
鷹司に庄吾、蔵之丞に兄上、夏津に九条、
各々が楽しそうに出店を見て回っており、
咲姫と永光の様子を気にする者はいなかった。
永光「咲姫……先程貴方に、過去の私の誕生日も祝うと言われて……目を背けたくなるような人生でしたが、少し救われた気持ちになりましたよ……」
永光「……これからも、私の側にいると、約束してくださいますね?」
咲姫は嬉しくなり、永光に抱きつく
永光「おや、先程までとは変わって随分積極的ですね」
咲姫「永光さんの側に、ずっといますから」
永光の鼓動が咲姫に伝わる。
愛しさで胸が一杯になる咲姫。
永光「来年は二人きりで、過ごしましょうね」
微笑む永光を見つめる咲姫。
ゆっくりと永光の顔が近付き、
口付けの予感に胸が高鳴るのだった。
--------終わり---------